Sansanの開発部長がキャディ (CADDi) に入社した理由
はじめに
はじめまして、2024年4月にキャディ株式会社にエンジニアリングマネージャーとして入社した神原です。この記事では、私がなぜキャディに入社したのかを書きます。いわゆる入社エントリーです。
キャディ社は「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに掲げる会社です。モノづくり産業 ≒ 製造業です。「製造業とか自分には関係ないし/興味がないし」と思ったそこのあなた!ちょっと待ってください。キャディ社は、CADDi DrawerというSaaSプロダクトを提供しています。そのCADDi Drawerは、単純に (「製造業向け」をいったん度外視して) SaaSプロダクトとして見た時に、ものすごい可能性を秘めていると私は考えています。この記事ではそれを私なりの言葉でお伝えします。私と同じソフトウェアエンジニア、あるいはプロダクトマネージャーやデザイナーなど、ソフトウェアプロダクトづくりに関わる人に届けたいと思って書きます。キャディ社ならびにCADDi Drawerに興味を持っていただけたら幸いです。
自己紹介
何者か分からない人の入社エントリーは誰の役にも立たないと思うので、簡単に自己紹介します。私はソフトウェアエンジニアです。キャリアは以下のような感じです。キャディに入社する前はSansan株式会社に9年以上在籍し、主にプロダクト開発系のマネージャーとして多くの経験を積ませてもらいました。この記事のタイトルでは「開発部長」としましたが、以下の通り開発部長だった時期もあるしそうではなかった時期もあります。
2014 - 2024: いろいろ @ Sansan
2011 - 2014: ITコンサル @ アバナード (アクセンチュアとマイクロソフトの合弁会社)
2005 - 2011: PG => SE @ 大日本印刷系のSIer
2004 - 2005: PG @ 富士通系のSIer
なぜキャディに入社したのか
以下が私がキャディに入社した理由です。入社を決めた時点でどう考えていたかを書きます。この記事を書いている時点で私は入社からまだ1週間しか経っておらず、キャディ社や製造業に対する解像度がとても低いことにご注意ください。
グローバルに使われるプロダクトを作りたい
キャディに入社した一番の理由が、グローバルに使われるプロダクトを作りたいという思いです。幸運にも私はSansan社で、日本で一番ARRが大きいSaaSプロダクトの開発に携わることができました (参考記事 ※リンク先で1位がラクス社になっています。2023年に逆転したようです)。在籍した9年間でSaaSプロダクト開発に関する多くのことを経験しました。そんな私がSansan社で本格的には経験できなかったと感じているのが、グローバル展開です。
キャディ社は現在、CADDi DrawerというSaaSプロダクトでグローバル進出に挑戦中です。グローバル進出。日本のSaaSプロダクトにとって、言うは易し行うは難しです。ただCADDi Drawerには、それが現実的だと思える理由がありました。以下の通りです。
扱う課題が世界中に存在する -- 製造業における組織間のコミュニケーションプロトコルは、2次元の図面だそうです。そしてCADDi Drawerは、その2D図面のデータベースを作り、共有できるプロダクトです (将来的には2D図面に限定されないかもしれない)。ここでの「組織間」とは、会社をまたがる場合はもちろん、大きな会社であれば会社内でも設計/調達/製造/販売と部門がまたがると「組織間」にあたります。2D図面が組織間のコミュニケーションプロトコルであること、またそれを蓄積し、効率的に探し出す手段がないことは、日本のみならず世界中に存在する課題だそうです。
同じドメインに強い競合がいない -- 製造業は言わずもがな巨大産業です。2021年時点で日本のGDPの約2割を占めていたそうです (参考資料)。これだけの巨大産業なので、いわゆる「製造業テック」には巨大なプレイヤーが多数存在します。しかし製造業テックの中でキャディ社には、狭義の競合がいません。ここでの「狭義の競合」とは、同じようなサービスを提供していてシェアの奪い合いになるような競合のことを指します。もちろん今後は、キャディ社が成功すればするほど競合は出てくるでしょう。しかしB2B SaaS業界で、世界中を見渡しても意識すべき競合がいないというのは稀なことです。
代表自らUS市場開拓にコミットしている -- キャディ社の創業者であり代表の加藤 (もう同じ会社になったので呼び捨てで) は現在、自らUSに移り住んで市場開拓にコミットしています。今回の転職活動の中で加藤と面談をして初めて知りました。これは私にとってインパクトが強かったです。並大抵のことではないと感じたからです。日本での事業の舵取りも重要であると認識しつつUSでの市場開拓にコミットする判断は、創業者としてそう簡単にできることではないはずです。加藤は、私がこれまでの人生でほとんど会ったことがないぐらいにすごいと感じた人物の一人です。加藤がその判断をしたという事実がキャディ社のUS市場におけるポテンシャルを示していると思いましたし、加藤がそれだけコミットしていること以上にグローバル進出の可能性を信じられる要因はそうそうないと感じました。
プロダクトが好き かつ 伸びている
今回の転職で、私も人並みに「転職活動の軸」的なものを作っていました。その軸は8つあったのですが、うち4つがプロダクトの性質に関するものでした。その4つが以下です。
未来のインフラ感 -- 近い将来、ユーザーにとってなくてはならない、使っていて当たり前のプロダクトになりそうな質感
独自性 -- 誰もやっていない、あるいはやっているが上手くいっていない課題解決をするプロダクトであること
競争優位性 -- 他社が真似しようとしても簡単には真似できない技術やノウハウなどを持っていること
知的好奇心が湧くこと -- そのプロダクトが解決する課題そのもの、あるいは解決方法に対して知的好奇心が湧くこと
CADDi Drawerは、これら4つの軸のいずれにも強く当てはまると感じました。ご覧の通り4つのうち少なくとも2つは私の感覚に基づくものではありますが、誰かの参考になればと思い具体的に言及しています。
1つ、独自性について取り上げます。私の考えでは、独自性のあるB2B SaaSプロダクトはレアです。まずHorizontal SaaS。Horizontal SaaSは、業種・業態を問わず幅広い企業に共通する課題を解決するものです。従って課題解決のドメインが、バックオフィス系 (HR、経理、法務など) か営業・マーケ系になりがちです。ほとんどのドメインで、国内のみならず世界中に多くのプレイヤーがいます。故に、独自性のあるB2B SaaSプロダクトを探すと、自ずとVertical SaaSに行き着きます (稀にHorizontalでも何らかの理由があってあまり多くのプレイヤーがいないドメインがあり、その1つがSansanです)。CADDi DrawerはVertical SaaSであり、独自性があります。
別のシンプルな考え方をすると、対象ドメインの市場が大きいならば多くのプレイヤーが参入するはずなので、市場が大きいのに独自性があることはレアである、とも言えます。まだ証明されきっていませんが、CADDi Drawerはそのレアなプロダクトの1つかもしれません。ローンチからまだ1年半しか経っていない現在のARRの大きさに、私は驚かされました。非上場企業の業績の話なのであまり詳しくは書きませんが、もし仮にこのままのペースで行くとすると、SaaS界隈を驚かせる日も近いかもしれません。
人が良い
今回の転職活動の中で、何人ものキャディ社の人たちと会いました。その誰もが、私から見ると及びもつかない程に「卓越」しており、かつ「至誠を貫く」人たちでした (無理やり感が出ましたが笑、「卓越しよう」と「至誠を貫く」はキャディ社の4つのValuesのうちの2つです)。卓越していてかつ至誠を貫く人は、私の考えでは「仕事を一緒にしたい人」です。以下で、何人か抜粋してご紹介します。他にも何人も魅力的な人たちとお会いしました。
CEO 加藤 -- 経歴などはこちら。いろいろとメディア露出しているようであり、例えばこの動画。今回の選考で私は、面談開始後ものの数分で「この人すごい人だ」となった。
CTO 小橋 -- 経歴などはこちら。Apple本社で働いていたこともあり、ハードウェアのモノづくりに対する解像度が卓越している。今回の選考での私の印象は「いろいろ尖りすぎていてやばい」。
Drawer VPoE 藤倉 -- 元Sansan社CTO。私のSansan社時代の尊敬すべき先輩であり上司。今回の選考過程で接点はなかったが、「藤倉さんが行ったんならきっと良い会社なんだろうな」と感じたという意味では影響を受けた。キャディ入社後の記事は例えばこちら。
EM 西名 -- 面談1回、面接2回でお話しした (同じ人が出てきすぎて「どういうこと?」となった笑)。今回の選考で私は、西名の書いたこの記事を見て、キャディ社のエンジニア組織についての解像度が上がったのと同時に、「この人と一緒に働きたい」と思った。
最後に
この記事では、なぜ私がキャディに入社したのかについて書きました。入社してみて1週間が経過して分かったことは、まだまだ頼もしい仲間が必要だということです。エンジニア組織だけで既にそれなりのサイズなのですが、何しろ事業成長が早すぎます。
募集中のポジションは以下のリンク先で確認できます。この記事を読んで少しでも興味を持ってくださった方はぜひ、カジュアル面談しましょう!