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13,860円のランチは高いのか?

昨日、妻と13,680円のランチを食べてきました。

たかっ!と思いますよね。ぼくもそう思います。

だけど、そこで本当に手に入れたものは、シャキシャキな地元野菜のサラダでも、肉厚なサーロインステーキでも、高級なノンアルコールシャンパンでもありません。

未来の妻とのコミュニケーションです。

どういうことか?

これがわかると妻との会話は一気に深まり、親密性をアップさせられるようになります。

関係の悪い夫婦には会話がない。なぜか?

夫婦関係が悪化した夫婦はみなこう言います。

「自分たちには会話がない。あっても事務連絡だけだ」

なぜ会話がないのか?

色々な理由があるでしょう。仕事、家事、それに子育ても忙しすぎる。話す時間なんて1秒たりともない。あったとしても翌日からの日常の繰り返しのために疲れを取りたい。

確かに忙しさは理由の一つでしょう。ですが、本当に理由はそれだけですか?

1年365日24時間、すべての時間が埋まっているんですか?そんなことないですよね?

多くの人は会話のトピックがないんです。出会ったばかりなら相手のことを知りたくて質問するはず。

どこに住んでるの?仕事は?その仕事を選んだ理由は?これからどうしたいの?

きっとあなたも出会ったばかりの妻にそんな質問をしたはずです。

だけど、出会いから何年も経ち、子供も生まれ、「妻のことはすべて知っている」と思っていることでしょう。

もう、新鮮さなんて1ミリとも存在しないと。時代が昭和なら、あなたは自分の妻を「うちの古女房」なんて呼んだかもしれません。

あなたの妻も同じことを考えています。

たとえ、あなたが高給取りのハイスペであったとしても、今となっては若かりし頃の夢に燃えたあなたはどこにもおらず、妻の目には職場と家庭の往復しかしない疲れたおじさんが映っているだけ。

新鮮さも憧れもそこにはない。

「この人のことをもっと知りたい…!」

そう感じさせる距離感がなければ、新鮮さも憧れも生まれないのです。

そんな人であっても(ぼくだってそう)、妻との会話を深められる秘訣があります。

いつまでも会話が止まらず、2人の気持ちが寄り添いあい、もっと話したい…!と思わせる秘伝のレシピが。

それが「共通の思い出」です。

共通の思い出が絆を作る。ささいなものであっても。

ぼくらが新婚旅行に行ったのは13年前、当時ぼくは結婚式も新婚旅行もまったく興味がありませんでした。

そんなものは単なる儀式であって本質的ではない。ブライダル業界と旅行業界のマーケティングになんか意地でもハマりたくないと思っていました。

ですが、結果はまったく違いました。

新婚旅行で訪れたハワイでは(当時のレートは1ドル80円台!なんでも安く感じました)、ファーマーズマーケット、ショッピング、クルージング、ダイビング、山登りなどあらゆるアクティビティに積極的に参加し、ステーキ、アサイーボウル、パンケーキ、ココナッツジュースなど有名どころの食はすべて体験し尽くしました。

夢のような1週間を過ごし、ぼくらは現地人に間違われるほど真っ黒に日焼けしたのです。

ぼくらはいまだに当時の思い出話をします。あれから13年も経ったというのに…!

いくつもの写真を大きな額縁にコラージュし、廊下に飾り、それを見るたびに楽しかった日々を思い返します。

ぼくらは恋愛感情がマックスに達していたあの頃へ、いつでもタイムトラベルできるのです。

なぜなのか?

2人にとってそれが強烈な共通体験だったからです。

これはなにも新婚旅行などのビッグイベントに限りません。

ぼくらは春が終わるころにバジルを植え付け、初夏に(まさに今!)収穫した葉でバジルソースを作ります。

そのソースで、夏の間ありとあらゆるバジル料理を2人で楽しむのです。

バジルパスタ、バジルリゾット、バジルサンドイッチ、グリルチキンに添えても最高です。

夏の間、ぼくらの会話はバジル一色に染まり、あれは美味しかったね、あれをまた作りたいね、今度は新しいレシピに挑戦しようなんて話すのです。

また、子供が水泳教室に通っているのですが、その上達具合を2人でシェアしあったり、英語教室での彼らの上達についても話します。

それは事務連絡などではなく、子供たちの意欲やレベルアップに対する素直な気持ちのシェアです。

あんなことまでできるようになったのはすごいね。いつもあなたが家で手伝ってあげてるからだね。子供たちの好奇心に合わせて適切なアクションを選んでいるからだね。

お互いの子育てに対するリスペクトを伝え合い、ポジティブな感情のループを作り出すのです。

会話のトピックなんてなんでもいいんです。

どんなささいなことであっても、それが2人の会話のネタとなり、親密さを生み出すのです。

なぜか?

それが2人の「共通」の体験だからです。

妻しか水泳教室の送り迎えをしていなかったら、妻しか英語教室の宿題のチェックをしていなかったら、こんなあたたかな会話は生まれなかったでしょう。

ぼくらが同じ体験をしているからこそ、生まれたのです。

それでもあなたは「建設的ではない会話にメリットがあるのか?」と疑問に感じるかもしれません。

単なる感想の伝え合いにいったいどんな意味があるのかと。

実はメリットのない会話にこそ意味があるのです。

メリットのない会話にこそ価値がある。

塩のかかってないゆで卵を食べることを想像してください。

モサモサした食感だけが口に残り、決して愉快な食体験とは言えないでしょう。塩をかけたい…!と思うはず。

もしくは醤油のかかっていない卵かけご飯や、ふりかけのかかっていない白米もそうです。

夫婦の会話も同じです。

たった1人だけの体験は、塩のかかっていないゆで卵や、ふりかけのかかっていない白米です。

素材自体は素晴らしいものでしょう。

ですが、2人がその体験を一緒に味わい、そこで感じた気持ちを伝え合うことで、その素材の持ち味がさらに向上するのです。

夫婦が体験を「共有」することは体験という素材にふりかける「調味料」なのです。

13,860円のランチは高いのか?

ぼくらは毎年、車で1時間の距離にあるレストランにランチに行きます。

静かな林に隣接するそのレストランは少人数の予約客しか受け入れず、ゆったりとした時間と空間のなか、美味しい食事を楽しむことができるのです。

13,860円のランチは確かに高い。それだけあれば数日分の食費をまかなえます。

ですが、ぼくはそこに食体験以上の価値を感じています。

静かな空間で、子どもを抜きにして、妻とふたりでゆったりと、シェフが作ってくれた料理をこころよくまで楽しむ。

この体験をぼくらは1年間話し続けるのです。

あれが美味しかったね。食後の林の中の散歩も心地良かったね。隣のテーブルから聞こえてきたおじさんの話はちょっとうるさかったけど面白かったね。

また、行きたいね。行こうね。

13,860円のランチはぼくらに1年間の会話のネタを提供してくれるのです。

そして、その共通体験から生まれたエモーショナルな会話が、ぼくらの心理的距離をさらに縮め、精神的親密性を高めてくれるのです。

まさに、ぼくら2人が歩む人生に風味豊かな味わいをほどこしてくれる調味料です。

13,860円のランチ、あなたは高いと感じますか?それとも安いと感じますか?

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