「ぼくらの家族」を作るために、忘れてはならないこととは?
なんで、そんな考え方になるの?
この10年間の結婚生活の中で、妻に対してそう思うことがなんどかあったんです。
口にするとケンカになるからあまり言わないけれど、(言ったこともなんどもあるけど、そしてなんども後悔したけど)なんでこんなに自分と考えが違うんだろうって、思うことありますよね。
多分、妻も同じことを考えていたと思うんです。
実は今でもよくあるんです。あまりにぼくと妻の考え方が違いすぎる時は、妻はまるで宇宙人を見るようにぼくを見るんです。
(この生物は何を考えているんだろう……?)
そんな目で見られたりもします。
でも、あまりイヤじゃないんですよね。ぼくと妻の考えが違うことって。
そう思えるようになったのは、「夫婦・カップルのためのアサーション」という本に書かれていた、この言葉がきっかけでした。
「すべての結婚は、異文化間結婚である」
今回のアツの夫婦関係学ラジオでは、結婚生活を「異文化間結婚」であるととらえることで、夫婦関係が少し楽になるというお話をしました。
ぜひ、ポッドキャストと合わせてお読みください。
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結婚って、個人と個人がするもんだと思っていたんです。
嫁姑問題でよく出てくるセリフに「わたしはあんたの家族と結婚したんじゃない。あんたと結婚したの」ってありますよね。
確かに、ぼくは妻という個人と結婚したのであって、妻の家族と結婚したわけじゃありません。
ぼくの妻もぼくという個人と結婚したのであって、ぼくの家族と結婚したわけじゃありません。
だから、妻はぼくの親族のめんどくさい儀式に付き合う必要はないし、ぼくの実家のしきたりに無理やり合わせる必要もないわけです。
自分の親と同じような夫婦像を目指す必要もないわけです。
ぼくらはぼくらの家族を作っていくわけですから。
でも、頭ではそう思っていても、心ではうまくいかないことってあると思うんです。
(自分の母親のように、妻には子供の面倒や家事にもっと力を入れて欲しい)
(自分の父親のように、夫には一家の大黒柱としてもっと稼いできて欲しい)
口にはしないけど、自分でもそう思っていることに気がつかないけど、実は無意識にそんな願望を抱いていることが。
ふとした言葉や行動の中に、そんな願望が混ざり込んでくることが。
これがやっかいなのは、心の深いところにこの思考が染み付いているので、自分でも気がつかず、パートナーから指摘されても反発してしまうことです。
反発してしまうと、ネガティブな感情の応酬が始まってしまうので、あっという間にケンカになってしまいますよね。
ぼくらの心のなかには、こうありたいなという夫婦や家族に対するイメージがそれぞれあります。
それが作られたのは、自分が生まれ育った家庭環境ですよね。
父親からの影響、母親からの影響、それぞれの親族からの影響。さまざまな文化や風習、価値観を小さな頃からあたりまえのように受け取ってきたはずです。
ぼくもそうです。
ぼくの父は母の実家に婿養子として入り、ぼくの実家で一番権力を握っていたのは祖母でした。
祖母を中心としたイエ社会の中で、父の立場は弱く、父は常に抑圧され、そのストレスは相当のものでした。
ぼくが小学生から中学生の頃、父の寝室からは、母や子どもたちを叱る父の寝言がよく聞こえてきました。
ぼくが男性よりも女性との、それも年上の女性とのコミュニケーションが得意なのは、そういった影響を受けているのだと思います。
誰もが自分では気がつかないだけで、生まれ育った家族からの影響を強く受けており、その影響は今の夫婦関係にもきっと及んでいるはずです。
ぼくの妻も、きっと同じような影響を、妻の両親から受けているはずです。
妻という「個人」と結婚したはずなのに、夫という「個人」と結婚したはずなのに、その個人のうしろには、決して無視できない存在感を持った「家族」があるんです。
そう願ってしまうのですが、それは叶うはずがない望みなんです。
ぼくは妻と結婚したわけじゃないんです。
妻が家庭環境のなかで背負ってきたものや、彼女が受け継いだ彼女の親族の価値観と、ぼくは結婚したんです。
ぼくと妻は、ぼくらにとって最適な家族像や夫婦像を模索し続けているけど、そのうしろには、ぼくらが背負ってきた価値観があることを忘れてはいけないんだと思うんです。
そして、それを軽々しく扱ってもいけないんだと思う。
身体と心に刻まれた価値観は、そう簡単に消えることはないのだから。
ぼくの心に刻まれた価値観を、妻の心に刻まれた価値観を、その存在を認めたうえで、ぼくらは「ぼくらの家族」を作っていくのだと思う。
ポッドキャストでもこの話をしています。ぜひ、合わせてお聴きください。
■アツの夫婦関係学ラジオ
#446 すべての結婚は「異文化間結婚」である。
※「アツの夫婦関係学ラジオ」は毎週月曜木曜の朝5時配信です。
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