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「近接コミュニケーション・バイアス」の認知と「受け止める対応」で妻との心理的距離は縮められる

「もういい!なにも話したくない!」

妻はそう言うと、夕飯の食器の洗い物をしていたぼくのそばから離れ、洗面所へと消えるようにいなくなっていった。

ぼくはその瞬間、なにが起こったかのかまったく理解できなかった。

いつものように皿を洗っているときに、妻が話しかけてきた。

妻がなにか話しかけてきて、ぼくは自分の意見を言っただけなのになんでこんなに怒るんだ?

自分の意見を言って怒るなら、それは会話なんて呼べないんじゃないのか?

妻から話しかけられ、言葉を返したら、なぜか妻が機嫌が悪くなってしまった。

あなたにも同じような経験はないでしょうか?

実は、こういう時に妻も夫も気持ちよく会話をすることができる方法があるんです。

妻との関係が悪いときは、ついつい売り言葉に買い言葉のような感じで、どんな会話でも喧嘩に発展してしまいそうになりますよね。

こんなときに、ぼくら夫がどういう会話をしたらいいのか、そして、どうすればそういう会話ができるようになるのかについて、書こうと思います。

「受け止める」ことから入る呉服販売員

ぼくが呉服販売員として働いていた頃のことを思い返してみると、お客さんから話しかけられて、自分の意見をいきなり切り出す人はいませんでした。

人気のある販売員ほど、じっくり人の話を聞くんです。意見を言うのは本当に最後だけで、あとはひたすら話を聞いていました。

その人がなにに不安を感じているのかって、ちょっと聞いただけでは分からないので、言葉の裏にあるその人の感情を読み取ろうとするんですよね。

支払いに不安があるのかな?
用途に不安があるのかな?
家族からなにか言われることに不安があるのかな?
色や柄に不満があるのかな?
販売時間が長くて疲れちゃったのかな?

みんな思ったことをそのまま口には出さないじゃないですか?

言いにくいこととか、自分はこう思っているけど、その考えを口に出すのはちょっとできないことって、誰にでもあると思うんですね。

言いたいことをオブラートに包んだり、ちょっと遠回しに伝えたり、人によっては(いや、それ、ちょっと分からないよ)と思うくらい、ものすごく遠回しに伝える人もいますよね。

その人の言葉をちょっと聞いただけでは、その人が本当はなにを考えているのかって分からないんですよね。

中には気持ちを素直に言う人もいますが、そんな人はものすごく稀ですよね。

だから、呉服販売員にとっては「お客さまの言葉を掘って掘って真意を探り当てる」ことが当たり前の仕事だったんです。

お客さまの言葉を掘って掘って真意を探り当てるには、お客さまの言葉に瞬時に反発せずに、まずは「受け止める」対応が必要になるんです。

だけど、ぼくらは、妻との会話においてはこの法則を忘れちゃって、ついつい余計なことを言ってしまうんですよね...

近接コミュニケーション・バイアスの罠

なぜ、妻との会話においては、会話を受け止めることが難しいのか?

これは近接コミュニケーション・バイアスと呼ばれるものが原因のようです。

こちらは、ニューヨークタイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナルなどで活躍するジャーナリストであるケイト・マーフィさんが書かれた「LISTEN」という本からの引用です。

コシェは、たとえば配偶者への質問に自分が答えてしまう人や、配偶者の代わりに何かを決めてしまう人の例を挙げていました。

また、的外れなプレゼントをあげてしまい、相手をがっかりさせたり傷つけたりするのもありがちです。

同じように親も、子どもが何を好きで何を嫌いか、何をしたくて何をしたくないのか、わかっていると思いこみがちです。

実は私たちの誰もが、愛する人に関しては思いこみをする傾向にあります。

これは「近接コミュニケーション・バイアス」と呼ばれています。

親密であることやお互いを深く知っていることはすばらしいのですが、そのため自己満足してしまい、自分にもっとも近しい人たちの気持ちを読み取る能力を過信するという間違いを犯してしまうです。
(出典:LISTENー知性豊かで創造力がある人になれる)

「自分にもっとも近しい人たちの気持ちを読み取る能力を過信するという間違い」

これって、言われてみれば思い当たることたくさんありますよね。ぼくも過去のあれやこれや色々出てきます。

的外れな誕生日プレゼントを妻にあげてしまって、妻から微妙な反応をされたことがある人はぼくだけではないはず...

「LISTEN」の著者は、「親密な関係であると、相手も自分と同じような考えを持っていると勘違いしやすくなる」とも言います。

こちらも「LISTEN」からの引用です。

親密であるがゆえに、相手も自分と同じものが見えている、自分たちの考えは似ているという錯覚が生まれたのです。

本書では、ある実験をした結果、夫婦よりも他人の方が相手の考えを理解していることがわかったそうです。

夫婦なんだから、他人よりも分かり合えているはずって思うんですが、そうでもないんですね。

これって、冒頭のぼくら夫婦の会話と同じだと思うんです。

妻から話しかけられ、ぼくら夫が「自分の意見」を妻に伝えるとき、(君もそう思うだろ?)と無意識に妻に対して思っていないかな?ということなんですよね。

ぼくは気をつけないと、しょっちゅうこう思ってしまうんですよね。

(君もそう思うだろ?)
(なんで君はそう思わないんだ?)
(そう思わない君の方がおかしいんじゃないのか?)

呉服屋で販売員としてお客さまと向き合ってきたはずなのに、つい妻が相手だと「期待」をしてしまうんですよね。

自分のことをわかってくれるはず。自分の考えに賛同してくれるはず。妻はぼくと同じ考えを持っているはずって。

つい、無意識にそう思ってしまうんですよね。よくないなぁって思うんですが、これが「近接コミュニケーション・バイアス」なんでしょうね。

ヘタな聞き手は「ずらす対応」を、優れた聞き手は「受け止める対応」をしている

売れる呉服販売員はお客さまの言葉を「受け止める」と言いましたが、これと同じようなことが「LISTEN」の中にも書いてありました。

夕食でのカジュアルな会話を100件以上録音して書き起こしたダーバーは、そこに2種類の対応があるのを見出しました。

このふたつのうち、より一般的なのが「ずらす対応」です。これは、注意を話者から応答者(聞き手)の方へと向けるものです。

もうひとつ、比較的少ないもので、ディズレーリが長けていたのが「受け止める対応」でした。これは、応答者がもっと深く理解できるように、話者にさらなる説明をうながすものです。

簡単に言うと、妻の言葉に対して「いや、それはおかしいんじゃない」とか「ぼくはこう思うな」とか「ぼくもこないだこんなことがあってさ」と、自分の目線で、自分が話したいことを喋ってしまうのが「ずらす対応」ですね。

そして、「受け止める対応」というのは、妻の言葉に対して「そうだったんだね。なんでそんなことになっちゃったの?」とか「そのあと、どうなったの?」と、妻の目線で話を進めていくということですね。

実は、これができるとめちゃくちゃ話が盛り上がります。

こないだ妻と一緒にPodcastを収録したのですが、この回の13分20秒あたりから「妻のどうでもいい話」が始まるのですが、「受け止める対応」を意識してみたらものすごく話が盛り上がったんですよね。

たぶんですが、これって技術なんだと思うんですよね。

「受け止める対応」を繰り返していくうちに、相手(妻)の反応がよくなって、お互いに会話が楽しくなってくる。

そうなると、自然と「受け止める対応」ができるようになってくると思うんです。

でも、冒頭のぼくのように「近接コミュニケーション・バイアス」に引っかかって、つい妻の言葉に瞬間で反応してしまうこともあるわけですが、でも、その数は減らせることができると思うんですね。

ぼくのご相談者さんの中にも、「近接コミュニケーション・バイアス」と「受け止める対応」を意識したら、妻と会話がしやすくなったという方もいらっしゃいました。

誰にでもある程度は習得ができる技術かなと思うので、妻との会話に悩んでいる方は、試してみてはどうでしょうか?

このことについてはPodcastでも何度か触れているので、こちらを合わせて聴いていただけると、より分かりやすいかなと思います。

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