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【読書感想文】ジョゼと虎と魚たち  田辺聖子

今年本を読むと目標の為に始めた【読書感想文】シリーズです!

noteの記事で書くのは3冊目ですが…今年読んだ本の中では5冊目です。
本によっては読んですぐに感想を書きたくなる本とじっくりと自分の中で噛み締めたくなる本があるなと思っています。

こちらの本は前者で、読み終わってすぐに文字にしたくてこの記事を書くことにしました。

※感想の中にネタばれが含まれる場合があります。
※また個人の感想ですので一意見と思って読んでいただけたら嬉しいです。

この本との出会い

昨年、亡くなった祖母の本棚から私の読みたい本を探していました。
同じ田辺聖子さんの本だったのですが、探していたものはなく代わりにこの本に目が止まりました。
理由はタイトルの『ジョゼと虎と魚たち』は昨年映画の予告を見ていたので私の記憶にあったからです。

本自体が薄かったのでサクッと読めそうという理由でもこの本を手に取ってみると中身は短編小説集でした。

本の紹介

ジョゼと虎と魚たち 著者 田辺聖子 

足が悪いジョゼは車椅子がないと動けない。世間から身を隠すように暮らし、ほとんど外出したことのない、市松人形のようなジョゼと、管理人として同棲中の、大学をでたばかりの恒夫。どこかあやうくて、不思議にエロティックな男女の関係を描く表題作「ジョゼと虎と魚たち」のほか、仕事をもったオトナの女を主人公にさまざまな愛と別れを描いて、素敵に胸おどる短篇、八篇を収録した珠玉の作品集。 by Amazon

表題の『ジョゼと虎と魚たち』は昨年2020年に劇場アニメ版が公開されました。
また2003年に妻夫木聡さんと池脇千鶴さんで実写映画も公開されていたようです。

表題の話以外に女性を主人公とした短編小説が主録されています。

私の感想文

この恋愛短編小説集は私の産まれた年に近い1986年に出版されているのに35年たった今、私が各小説の女主人公に共感できる部分があるのが不思議でした。
もちろん時代背景などは今と違う部分もあるのですが、35年前の女性たちも仕事を頑張り恋愛に悩む姿が昔も今も変わらない心情を感じました。

後書きを書かれている山田詠美さんも解説で書いていました。

これらの短編は思わず女たちに頷かせたり、指を鳴らせたり、驚きに小さく叫ばせたり、切ない声で「そうよ」と言わせたりするのだ。
そして、しみじみとした気持ちで舌鼓をうたせたりも。

そんな解説にも私は頷いてしまいました。
様々な共感ができる短編集ですが…
その中で表題の『ジョゼと虎と魚たち』は映画予告の印象もあって早く読みたく、そこまでの話を駆け足で読みました。

いざ読んだ『ジョゼと虎と魚たち』の話は映画の予告で見た可愛い絵の雰囲気とは違うイメージを持ちました。
読んだ後に本当にこれがあのアニメ映画の話なのか?と思うほどに。
そして半信半疑でネットで調べていると、この原作を元に書かれた漫画があることを知りました。

この漫画が今回のアニメ映画の元になっているんだと思っていたら、そうではなくアニメ映画を漫画にしているようでした。
気になってしまい漫画も読みました。
大筋の設定は原作と同じなんですが…
時代背景を今の時代に直したりもしていたり、一番違うと思ったのは短編小説では最後に書かれたジョゼのいう『死んだモン』について書かれていなかった事が私には全然違う話だと思いました。

短編小説のジョゼは明日どうなるか分からない何も確証がないけれども、今その瞬間の幸福を幸福と言わずに『死んだモン』という。
それがすごく私にとって生々しい幸せに感じて心を鷲掴みにされました。

変わって漫画の方は希望や夢を何かを理由にあきらめなそうになった2人の乗り越えていくキラキラした幸せを描いているように思いました。

個人的には小説の方が記憶に残りました。

ぜひ映画と小説どちらもみてどう思うかを感じてみてほしいと思う話でした。


五つ星評評価

出版社 : 角川書店 (1987/1/10)
文庫 : 256ページ

世界観(景色) 3.0★
テンポ・長さ  2.5★
意外性    2.5★
トータル    3.0★

世界観は大阪生まれの田辺聖子さんが書く関西弁の言葉を話す女性が同じ関西の女性としてはすんなり入り込めるきっかけになったと思います。
それと同時に他の地域の人ならどう感じるのだろうという疑問もありました。

テンポについては短編小説集となると1話終わる度に満足して読むのを止めてしまうのがどうも私の癖のようです。
1話1話は展開は少なく短いので読みやすかったです。

どの話が特別というより感想の最初にも書いたように共感できる部分が全体を私は好きでした。

まとめ

本を読み終わったら最後のページに『ー50』という文字が書いていました。
その文字が祖母の文字なのですが一体何のメモなのかなと考えていて、もしかして祖母のこの本に対する評価?!
『ー50』とは何点満点かはさておき酷評すぎない!?と笑えました。
生きている時に読んでいたら本人に聞けたのになと少し寂しくなりました。

祖母は他にも田辺聖子さんの本をもっていたのでせっかくなので片っ端から読んでみようかと思います。

読んでいただきありがとうございました。
あつぱんだ。

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