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「Shopify」、「instagram」等による新しいeコマースのトレンドに乗り遅れないために

こんにちは、
最近のニュースでこのような記事がありました。

「コロナ禍で好調な Shopify 、テレビ番組の制作をスタート:「ブランディングは一切行わない」

小売企業のWebサイト支援サービスを提供するShopify(ショッピファイ)は、コロナ禍のなか急速な成長を続けている。(中略)現在、同社は異例ともいえるテレビ業界への参入を目論んでいる。同社のコンテンツ制作を行っているShopify Studios(ショッピファイスタジオ)は、8月18日から初のテレビ番組『アイ・クイット(I Quit)』をディスカバリーチャンネルで放送開始。同番組は仕事を辞め、起業した人たちを追った全8話のリアリティ番組だ。(中略)基本的にShopifyのマーケティングや宣伝は行われない。実際(中略)Shopify Studiosの責任者として活躍しているサラ・ノース氏は、同番組で「ブランディングは一切行わない」と明言している。

「Shopify」はご存知でしょうか?(音楽のspotifyではありません!!)

僕は、名前のみ知っており、eコマースをやっている会社なのかと思っていた程度でした。そんな会社が、「テレビ番組を始める?」「しかも内容はショッピング番組ではないの?」「意味がわからない」と疑問の連続です。さらに、ブランディングを行わないと・・・

企業活動であれば、絶対に何かしらの意図があるはずです。
そこで、なぜ、この会社がそのような番組を作っていくのか、を掘り下げていくことにしました。そして調べていく上では、eコマースについての流れを触れざるおえなくなりました。

特に直近の注目のニュースはこれです。「Facebookが、Instagram内でのライブコマースを始めると発表」していることです。元々はTikTokが中国国内では行われているサービスですがいよいよ時代が来たという感じです。

こうしたeコマースが進んで行ったことの要因の一つとしては、今までAmazonが独占的持っていたワンクリックの技術の特許が、2017年9月に特許権が失効し、他のサービスでも簡単にワンクリック技術が導入ができるようになったことが、市場の加速化を促しているようです。

ということで、今回は下記の流れでまとめていきたいと思います。なお、お読みいただくのに10-15分くらいかかりそうなので、根気よくお付き合いいただければと思います。

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1 Shopify について

まずは、Shopifyについて調べてみようと思います。Shopifyはカナダのオタワを拠点にしている会社で2004年に設立されました。

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企業の成り立ちは、自分たちのスノーボードのオンラインショップを立ち上げた際に、自分たちが欲しい物がなかったことがきっかけだったそうです。そこで、そうした同じような思いの人が世の中にたくさんいるのではないかと思い、誰もが気軽に使えるようなサービスとしてshopifyがスタートしました。

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(公式サイトより)

Shopifyは現在、全世界175カ国で展開しており、100万店舗以上のストアで利用されている世界最大のECプラットフォームとなりました。グローバルでの流通総額はなんと10兆円を超えているそうです。

参考までにマクドナルドが全世界で3万5000店舗あるので、その30倍程度のお店が現在利用しているというイメージです。

Shopify is a leading global commerce company, providing trusted tools to start, grow, market, and manage a retail business of any size. Shopify makes commerce better for everyone with a platform and services that are engineered for reliability,(中略)trusted by brands such as Allbirds, Gymshark, PepsiCo, Staples and many more. For more information, visit www.shopify.com.

サービスの目的は、ビジネスのあらゆる段階で、誰でもが簡単によりよく使用できるツールを提供するということを目指しています。

利用している有名な企業として上げられるのは、世界で最も快適なシューズを販売するAllbirds(Youtuberでもあるマコなり社長が履いているということで話題になりました)や、イギリスの人気フィットネスウェアGymshark(マッチョな方は誰でも知っている?)、そしてPepsi(コーラでおなじみ)などがあり、ベンチャー系から大手まで幅広いです。

サービスとしては、初期費用がいらない月額課金制をとっており、制作できるデザイン性も高くバリエーションがあり、シンプルな操作性で高機能とい評判です。

そして、いろいろなEC制作サイトと異なる点を3つあげると、1つ目は、通常の在庫がある商品はもちろん、コンテンツ・ダウンロード商材、ドロップシッピングなどの製品販売にも対応していることがあげられます。次に、サービスの提供方法として、配送(配達会社経由)、置き配(ローカルデリバリー)、店頭受取の3つの方法が選べることがあげられます。

例えば、レストランを経営している場合、ローカルデリバリーまたは店頭受取の配達方法を有効にするだけで、地元周辺だけの事業ができます。また、手持在庫を持たないオンデマンドの印刷会社であれば、ローカルデリバリーや店頭受取の方法を使用せず、配送料のみを有効にすることもできます。さらに、ストアフロントを持たない個人アーティストなら、商品のほとんどを配送したいと思う場合、配送とローカルデリバリーを有効にし、地元の購入者には自分で作品を配達することを申し出ることができます。

この配達方法が選べるというのは、こういうコロナの時期では強いかもしれません。お店の営業できる体制に合わせてスムーズに変更が可能になります。

そして、3つめとして最も有意なポイントとしては、同じシステムを使用しながら様々なECサイトに一気通貫で管理できることが可能ということです(マルチチャネルプラットフォーム)。

・オンラインストア
・Facebook(Messengerを含む)
・Instagram
・Amazon
・購入ボタン
・Pinterest
・Google Shopping

今まで商品を売りたいときは、日本の場合自社でECシステムを作るのは大変なコストがかかるので、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピング、アパレルならZOZOTOWNなどの大手ECサイトにページを立ち上げて販売していくのが通常でした。それが、こうした格安で手軽に自社で管理していくことにより、そこにこだわることなく事業展開ができるようになります。加えて、決済システムも多様な形が導入可能です。仮想通貨まで対応しているようで、決済手数料を考慮しながら好きな方法を設置できます。

そして、下記の未来のeコマースに関する記事を読むと、モバイルでの決済の割合がますます高まっていることがわかります。

アナリストは、2021年までに合計Eコマース売上の53.9%がモバイル端末から行われると予測しています。

モバイルで簡単に決済できるようになるということは、今までは、テレビや動画をみながら商品が欲しいなと思って、PC等で商品名を検索して購入するという流れだったのが、モバイルで動画を観ながら、気になったらその画面をクリックするだけで購入できるようになります。

さらに、Shopifyが導入している、「Shop Pay」 という電子決済システムがさらにそれを後押しします。

「Shop Payは、シームレスな購買体験は、素早いコンバージョンと満足度の高いショッピング体験を実現するために必要不可欠です。」

また、Shopifyは、このような決済機能の共通化・充実化をもたらしたことにより、逆境のECも強くなりました。実際に「商取引売上の19%は越境している」そうです。

そして、極め付けがこれでした。

ShopifyでFacebook・Instagram上でのECショップが展開可能に

今年より本格展開していくFacebookショップに、Shopifyが全て対応していくことにより、販売者はSNSを通じた販売を加速化させることができるようになるのです。

ということ改めてShopifyについて整理すると、

・誰でも簡単に管理できるシステムをリーズナブルに月額定額制で提供
・Web実装しやすいEC決済システムであり、様々なショッピングサイトやSNSに導入可能で一括管理できる、また様々な商材に対応できる
・シームレスな決済機能と越境ECとしての強さ
・また、とりわけ ShopifyとFacebook(Instagram)の連携力の強さに期待

となると思います。

少し補足する上で、日本人のようなAmazon、楽天脳で考えると理解し難いのですが、以下のように変わるイメージです。
(※実際にやっているわけではなく、推測して書いているので多少間違っているところはあるかもしれません。)

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いままでは、サイト側のシステムに合わせて、ショップ展開をそれぞれ作っていかなければならなかったのが、販売店が主体となり、販売店が作るフォーマットを各プラットフォームに当てはめれるようになるのです。ポータルサイトドリブンで行われていたのが、販売主ドリブンに変わっていくのです。

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2 Shopify が始める番組とその狙いを考察

そんな会社が、今度は新しく番組を始めるということなのです。では、どのような番組なのでしょう。記事によると、Shopifyが始める番組はディスカバリーチャンネルで放送されるようです。

テレビ番組『アイ・クイット(I Quit)』は仕事を辞め、起業した人たちを追った全8話のリアリティ番組。下記はプロモビデオです。

普通に企業家達をインタビューしているドキュメンタリーのようです。日本の番組だと、「プロフェッショナル 仕事の流儀」や、「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」が近いのでしょうか・・。

なぜ、そのような番組を始めたのかと考えたときに、Shopifyのミッションが大きく関わっているのではないかと思います。

Making commerce better for everyone
We help people achieve independence by making it easier to start, run, and grow a business. We believe the future of commerce has more voices, not fewer, so we’re reducing the barriers to business ownership to make commerce better for everyone.

(意訳)「商取引をより良いものにしていきます。
私たちは、ビジネスのスタート、運用、成長の簡易化することによって人々の独立を助けます。私たちは、商取引の将来には、多くの声があふれていることを信じています。商取引がより良いものにするために、ビジネスオーナーへの負担を減らしていきます。」

つまり、独立を志す人を応援し、あらゆる人に商取引が簡易化できビジネスを始めれるようになることが目標だからです。そのため、独立した人たちを応援するということは、Sjopifyの提供する夢を応援する形になるのです。

2019年4月に実施されたShopifyの決算説明会のなかで、CEOのトビアス・リュトケ氏は同社の事業全般に対するShopify Studiosのメリットは、「事業立ち上げのプロセスに対する理解を促進し、起業の決断を後押しすることにある」と述べている。

ビジネスの初め方としては、「何かをしたい」から始めるのではなく、「自分たちが伝えたいものやサービスを多くの人たちに喜んでもらえるため」に始めることが多いと思われます。だからこそ、Shopifyは、この番組を通して、そうした最初の一歩をなかなか踏み出せない人に勇気を与えていきたいのです。

最近の決算発表でも、Tobi Lütke(トビ・ルーク), Shopify’s CEOは、下記のように述べており、一貫してビジョンが変わらないことが伺えます。

With all of these changes, our core principles remain the same: everything we ship is designed to lower barriers to entrepreneurship and reduce friction wherever we can

「(意訳)いろいろな変化が起こっても、我々の原理は変わりません。我々が提供するものは、企業家の方々のビジネス障壁を限りなく低くしていくことであり、できる限り摩擦を減らしていくことです。」

現在でもSNSの利用者が増えるにつれ、自分たちのコミュニケーション範囲が拡大し、ビジネスチャンスが増えていると思います。Shopifyは、さらにその流れを加速化させて、あらゆる人のビジネスチャンスを拡大して行っています。

最近では、個人の力や個の力という言葉が多いですがそうしたトレンドの後押しになっているのではないかと思われます。例えば、少し検索すると、shopify を活用した例としてこうした新しい企業がありました。

そのため、何のためにやっているのか、という回答としては、個人の独立やチャレンジを促すことにより、結果として多くのeコマース商店が誕生し、shopifyの利用者数が伸びていく、ということになるのでしょうか。

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3 FacebookとInstagramのイーコマースについて

さて、先述で記載した通り、Shopifyが、FacebookやInstagramとの連携を強めることを発表しています。

補足:ご存知の方には恐縮ですが、Instagramは、Facebookのサービスですので、Instagram=Facebookと思って読んでいただければと思います。

記事によると、最初にFacebookから始まり、Instagramで広がっていくようです。

Facebook Shopsは2020年5月19日から提供が開始され、Instagram Shopsは夏の予定だとしています。日本での展開は現時点では明らかにされていません。

Shopifyの公式サイトにいくつかサービスイメージが紹介されていたので、一つ引用させていただきます。FacebookとInstagramで同じような画面が表示されています。公式はこちら。(https://www.shopify.com/facebook-instagram)。

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そして、7月になりInstagramでも使用できるようになりました。それに合わせ「Checkout」というサービスも発表されました(Facebook,Instgramともに対応)。

それは何かというと、記事によると、既存の投稿の画面から下記のようにInstagramを離れることなく購入することができるようになるということです。今までは何かしらのShopリンクなどの外部サイトに飛ばされていたものが、アプリ内のみで完結するようになったのです。

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ストーリーでも同様に行えます。

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こうしたシームレスな決済昨日の導入により、かなり便利になったという印象があった中、その延長として、ライブコマース対応が発表されました。

The company has also been testing a live shopping experience, where businesses can show off products in a live video, while consumers can browse the highlighted products and make purchases. Instagram Live Shopping should now be available to all sellers using Instagram Live Shopping in the United States.
“We’ve seen live shopping take off in other parts of the world
,” said Instagram’s vice president of product Vishal Shah.

(要約)Facebookはライブコマースのテストを行ってきた。インスタグラムライブショッピングは、アメリカ国内では対応可能となった。今後は世界中での対応を目指す。

下記は記事内で紹介されている画像。化粧品が販売されている。

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日本だとまだわからないのですが、Instagramの「Checkout」の決済機能を使うと、ライブ動画を観ながら、動画を離れることなく商品が決済できることにより視聴者は、気軽に買いやすくなります。

もし、LIVE限定の特別価格というような形で紹介されれば、「えっ、今買わないと損かも!?」と思い、クリックしてしまうかもしれません。

これらのSNSとの連携により、ますますeコマース市場が伸びることが期待できます。

ちなみに余談ですが、Instagramに対応しているのは、Shopifyだけではないようです。その他に大きな企業としてBigCommerceがあげられます。こちらも同様のサービスをおこなっているようです。

ソフトバンクが出資しているので名前は聞いたことがあるかもしれません(サービスはShopifyと類似ということしか僕は把握できていません)。

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4 ライブコマース最先端!中国の状況

ライブコマースに触れてしまったので、ライブコマース先端の中国の状況も抑えておくことが大事だと思います。なぜならば、みなさんが、利用されているTikTokは、すでに中国国内で展開している同じサービス(抖音)ではライブコマース機能が実装されており、市場としても活況です。たまに本国のアプリを見ると投げ銭チャットライブのようなことが行われています。

まさに、世界で一番ライブコマースが普及している国といっても過言ではないのではないでしょうか?

そのため、(中国国外版である)TikTokでも世界的にライブコマースが導入されるをこと見越して、先行してFacebookやInstagramは実施したのかもしれません。

このようなニュースも当然出てきました。TikTokはコマースプラットフォームのティースプリング(Teespring)との提携を発表したのです。

さて、では現在の中国におけるライブストリーミング市場はどのような規模なのでしょうか?

広州のメディア監視会社のアイメディア リサーチ(IIMEDIA RESEARCH)の統計によると、中国におけるライブストリーミングの市場規模は2020年に1285億ドル(約13兆円)に到達し、グローバル市場は27年までに1843億ドル(約19兆円)に成長する見込みだという。

上記の記事によると、すでに13兆円という市場規模とのことです。

参考までに、中国商務省が発表した「2019年EC業界報告」では、eコマースにおけるBtoCの市場規模が、約155兆円ということなので、ユーザーの10人に1人はライブコマースで購入するようになっているということである。

また、他の記事によると、2020年3月時点でライブコマースの利用者は2億6,500万人。これは、インターネット利用者の29.3%、ライブ配信利用者の47.3%に相当する人口という話もあります。

中国の多くの人にライブコマース文化が浸透していることがわかります。

ファッション・ライブストリーミングのプラットフォーム、アンド・リュクス(AND LUXE)のインタビュー記事では下記のようなことも言われております。

「eコマースと違って商品を映像で確認することのできるライブコマースは、アパレルに非常に適しているという。特にドレスなどはサイズ感に不安を覚える人が多いため、購入を避ける傾向にあるが、ライブストリーミングでは、気になる箇所のサイズ感について、ライブ中に質問でき、ブランドはその服のサイズが適切かどうかを判断し、直接アドバイスすることができる。」
欧米ファッションブランドの多くは“ライブストリーミング”という言葉を表面的にはわかっているが、本来の意味やその仕組みをきちんと理解していない。フェイスブック(FACEBOOK)のライブと、テレビ放送のショッピングチャンネルのホーム・ショッピング・ネットワーク(Home Shopping Network)、そしてECサイトを一体化したものだと考えればいい。消費者はライブショーを視聴することで、ブランド側は商品をリアルタイムに、3次元の方法で紹介し、販売できる」

これを読んで、なるほどと思いました。

また、次の記事ではこのようなことが挙げられています。

中国のライブコマースの市場規模はまもなく1.5兆円に到達する見込みと言われています。2017年にスタートしたまだ若い市場ですが、爆発的に拡大しているのがライブコマース市場です。

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勢力を伸ばしているのが、アリババの『淘宝直播(タオバオライブ)』、テンセント資本が入った『Kuaishou(快手)』、バイトダンスの『DOUYIN(中国版TikTok)』の3つです。
中国のライブコマースは、「インフルエンサー型」「EC店舗中心型」の大きく2つに分けられています。
まず、ライブコマースというとイメージしやすいのが、「インフルエンサー型」です。インフルエンサーが商品を紹介するスタイルなのですが、ブランドや店舗を限らず、何でも紹介するのが特徴です。
もう1つが「EC店舗中心型」です。メーカーがそれぞれ店舗をもって、インフルエンサーや芸能人に商品を紹介してもらうスタイル。インフルエンサー型と違って、後発であってもスタートしやすいことから、今後はこちらが主流になっていくと考えられています。

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という感じで、ライブコマースについてすでにいろいろ研究がなされており、様々なバリエーションがあるようです。実例も紹介されているのでぜひお時間があれば、記事本文も読んでみてください。

その記事の中で興味深かったのは、「インフルエンサー型」「EC店舗中心型」という考えです。今後eコマースが浸透すると、販売価格での差別化は少なくなると思います。特に小規模商圏で事業を行っている会社で顕著だと思います。DtoCのビジネスモデルの発展です。

理由としては、Shopifyなどのツールを使えば、各サイトで容易に商品在庫を自社でコントロールできるため外部に委託販売する必要性も少なくなるため、販売価格をコントロールできるようになるからです。

そうした時に大事なのが、「誰から買いたいか」ということです。SNSを通じて販売する場合、実際にユーザー(潜在購入者)は、販売者のことを理解して買うということになります。その有名人が好きで、その有名人を応援したいのでその商品を買うのか、または、そのブランドが好きで買うのか?、そうした点が大事になってくると思います。両者を比較すると、最終的には、そのブランドから買いたいという人(「EC店舗中心型」)の割合が多いのではないかと思います。

例えば、極端な話ですが、Iphoneを買う時に、「Apple好きの有名人のLiveで買うか」、「Appleショップ公式のLiveで買うか」を比較した場合、多くの人が後者を選ぶと思います。

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5 おわりに

以上のように、Shopifyの奇抜なニュースをきっかけに調べて行きましたが、eコマースのあり方、考え方がだいぶ変わってきていると感じています。最後に自分ごと化にして考えてみようということで、自分が関わっている業界で今後どうなるのかについて考えてみようと思います。

私のよく知り得る業界として映画について考えてみたいと思います。4つの点を挙げてみました。

■ 映画前売り券(ムビチケ)+グッズの販売を同時に実施
■ キャスト出演プロモーションLive映像内での前売り券やグッズの販売
■ 映画館での座席指定予約と同時にポップコーンなどの購入
■ プロダクトプレイスメントの活性化

■ 「映画前売り券(ムビチケ)+グッズの販売を同時に実施」

現在ムビチケは、オンラインではムビチケの公式サイトからしか購入ができません(不便です)。そこで、各映画の公式サイトやSNSを立ち上げる際にShopifyのシステムを導入して、どこのサイトやSNS内からシームレスに前売り券やグッズが販売できるような仕組みを導入するのです。

過去の様々なアンケート調査から、映画を観にくる人の中で最もアクセスするweb媒体は公式サイトです。そこで買うことが最もユーザーにとっても良いのではないかと思います。

また、ムビチケを購入する際に付く特典は、直接販売が多かった影響でフィジカルな特典(キーホルダーなど)が多かったですが、デジタル特典も可能になると思います(ボイスコンテンツや、LINEスタンプなどの画像・動画コンテンツなど)。

そのような選択肢の広がりがふえると、先ほどの中国の実例でも紹介したように、「誰から買いたいか」という議論になります。結果、公式サイトやファンサイトから買いたいという気持ちが強いと思うので、そこでの販売が伸びると思います。

またグッズメーカーにとっても朗報です。というのも、今まではコラボグッズやライセンスグッズを作っても、自分たちの流通経路でしか販売できませんでした。それが、その映画好き(ファン)が最も集まる公式サイトで販売することが可能になるので、商機が増えます。

例えば、個人的に観たいので、9月18日公開の「テネット(TENET)」の画像を持ってきました。映画に興味ある人は、まずここを見るのでここで購入できれば良いなと思いました。

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■ 「キャスト出演プロモーションLive映像内での前売り券やグッズの販売」

さらに、公式サイトのeコマース機能が実装されていることによりライブコマースにも後押しになります。最近では、映画の公開直前に出演者が出てきて、プロモーションを兼ねてtwitterや、Instagramなどで、直前LIVE配信などがおこわれていると思います。ここでも上記と同様に映画の前売り券やグッズを販売できます。

例えば、出演者に映画のT-シャツや帽子を着てもらったり、グッズを紹介してもらうだけで、様々な販売勝機を得ることができると思います。そして、出演者がみんなこれを着て舞台挨拶に来てね!と言った場合、購入したくなるかなと思います。

■ 「映画館での座席指定予約と同時にポップコーンなどの購入」

映画館側はどうでしょうか?映画館のwebサイトはチケットの予約購入ができるサイトに特化しているものが多いです。しかしながら、劇場に行けば、映画のパンフレットやグッズ、またさらには売店でポップコーンやドリンクなども販売されています。いっそのこと先行して、それらも販売できる仕組みを作ってはどうでしょうか?

例えば、チケットを購入した後に、当日のお食事や飲み物、また映画関連グッズのご購入はいかがですか?というような形で、事前に予約購入してもらうのです。Shopifyには現地でお渡しするというメニューもあるので、当日はその購入証明コード?のようなものを持っていけば、決済をすることなくすぐにその商品をお渡しすることができます。また、並んだり、売り切れということが防げます。一方で劇場側は、映画チケットを買う流れで購入していただくことにより販売機会の向上もはかれますし、事前に売れ行きを予測することで先行して仕込むことができます。

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グランドシネマサンシャインより

■ 「プロダクトプレイスメントの活性化」

そして、最後にプロダクトプレイスメントの活性化です。映画の本編内には、プロダクトプレイスメントという形で、企業の商品が映画の中にさりげなく入っています。「007」に登場する高級会社などがその例です。企業側の出稿目的としては、画面の中に商品を出すことによって、その商品の認知や購買数をあげたいと思っています。

「007」シリーズなんかは毎回話題になります。例えば「skyfall」では、

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オープニングシーンからOMEGAのSeamaster Planet Ocean 600M SKYFALL限定モデルがビシバシと目に入ってきます。スポンサーシップ7作目ともなると<BOND=OMEGA>のイメージは不朽。冒頭の危機一髪なシーンの後に、BONDが袖口を正すシーンがあるんですが、そこでもOMEGAがキラリ。それで確信しました。この映画の見どころは、穿った見方ですけれど、プロダクト・プレイスメントだと。

もしライブコマースが発展した形で、映画内に登場する商品を気軽に購入することができるのであれば、プロダクトプレイスメントの価値が上がると思います。

例えば、恋愛映画でとても素敵なデートシーンが流れたとします。その女優が着ている服や、相手へのお祝いプレゼントがとても素敵だったとしても、映画を観終わってしまった後には忘れてしまいます。しかしながら、映画鑑賞中や直後にすぐそれをクリップできれば、終わった後にすぐ買うことができます。

そうした形で、様々な広がりの用途が考えられるのではないかと思います。

他のケースも少し考えてみます。

例えば、「アーティストのライブの場合」を考えてみます。ある有名バンドのライブ演奏の一部をInstgram LiveやFacebook Liveでも同時に配信しておきます。それを観たファンの人たちは、熱狂した状態のままアーティストが着ていた服やグッズなどを購入することができます(別のページに遷移することなく)。

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他には、「プロ野球の場合」などもどうでしょうか?例えば自分の好きな選手がホームランやファインプレーの直後に、画面を通して、その人のレプリカユニフォームやサイン入りボールを購入することができるのです。

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このように、eコマースの進化により様々なチャンスが生まれてくるようになると思います。最後に今回気づいたことをまとめさせていただきます。

■ Shopifyなどの新しいeコマースサービスを使うと、誰でも気軽に安価で商品やサービスが売れる環境が整う
■ プラットフォームに捉われないイーコマース事業の加速化が起こる。つまり、自分の得意なプラットフォームが、そのまま自分の商店にもなる
■ (決済簡易化により)ユーザー体験から購入へのハードルが限りなく近くなる
■ WebサイトやSNSの運営方針が情報を発信する場から、提供サービスへの距離を縮め、体験し購入する場へと変わっていく
■ SNSにおいては、フォロワー数ではなく、そのロイヤリティー率(ファンの熱量)も重要になってくる
■ ブランドストーリーをきちんと伝えることが大事、共感してもらうコミュニケーション設計がますます大事になる

そして、最後に僕が思ったことは、

■個人は浪費に注意! 

です。この記事を書きながら、Gymsharkのウェアを買ってしまいました・・・。UKのサイトなのに簡単に買える・・・。

ここまで気軽にお金使えるような世の中になると、感情だけで購入してしまう可能性があります。そのため、冷静に欲しいものを判断できる能力が個々に求められるのかなと思いました。

以上、超長文をお読みいただきありがとうございました。皆様のお仕事のお役に少しでもたてれば幸いです。また、楽しんでいただけたら「いいね」もしていただけると励みになります。

では、さようなら


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「回し者では決してないですが・・」
Shopify開設のための動画がこちらでみれます。50分でわかるようなので興味がある方はみてください。


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