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2024全米女子オープン


1.日程及び会場

〇日程 2024年5月30日~6月2日
〇会場 ランカスターCC(ペンシルベニア州)
〇全長 6583Y(Par70)

2.結果

優勝 笹生優花         -4
 (メジャー2勝目、LPGAツアー2勝目)

2  渋野日向子        -1

T3 アンドレア・リー      E

T3 アリー・ユーイング     E

5  アルピチャヤ・ユボル   +1

T6 ウィチャニー・ミーチャイ +2

T6 アタヤ・ティティクル   +2

T6 古江彩佳         +2

T9 小祝さくら        +3

T9 竹田麗央         +3

T9 ミンジー・リー      +3

3.男女を通じ日本人選手初のメジャー大会複数優勝、”日本国籍”で3年ぶり2度目の制覇、笹生優花

https://www.uswomensopen.com/

 要所要所にランカスターの”怖さ”が現れた最終日。
 首位に3打差からスタートした笹生優花が、難コースで5バーディー1ボギー1ダブルボギーの2アンダー68で回り、トータル4アンダーで先にホールアウト。
 後続組が笹生を抜かすことができなかったため、3年ぶり2度目の全米女子オープン優勝を挙げました。
 ゴルフメジャー競技で複数回優勝を達成したのは、男女を通じて日本人選手初めての快挙です。

〇日本人選手同士の最終日

 最終日は小祝さくらとのツーサムだった笹生。
 普段戦っているLPGAツアーでは滅多にありませんが、日本人同士ということもあり、組全体に落ち着いた雰囲気がありました。
 きれいなスイングフォームから放たれるロングドライブを軸に、ピンに絡むアイアンショット、絶妙なタッチのアプローチとパット。これらがすべてうまくかみ合ました。
 そして過去1度優勝した経験がここぞの場面で生きました。
 15H(Par4)のセカンドショットがピン右1.5mにつけるショットでバーディーを奪い、後続を突き放しにかかります。
 ワンオンチャレンジができる16H(Par4)でもしっかりバーディーを奪い、更にプレッシャーをかけました。
 17H(Par3)でボギーを叩くものの、最終18H(Par4)を難なくパーでまとめました。
 笹生がパーで終わった姿を、後続組にいた渋野日向子が拍手を送っていたのも印象的です。

〇今回は「父親」への優勝

 畑岡奈紗とのプレーオフに勝った2021年は、日本人選手でありながらも母親の国籍であるフィリピンを自分の国籍としていた笹生。
 優勝した年に今度は父親の国籍である日本を選択し、今度は日本国籍での優勝となりました。
 インタビューでも「前回は(フィリピン国籍である)母親のためだったが。今回は(日本国籍である)父親のため」と答えていました。
 一足早い、父の日のプレゼントとなりました。

〇五輪出場もほぼ決定的、勿論今回は「日本」

 全米女子オープン優勝で、ロレックスランキング(女子ゴルフ世界ランキング)が一気に上がり、日本人選手No.1になることが確実。
 最新ランクで6位に浮上し、久しぶりに日本人選手がトップ10入り。
 パリ五輪女子ゴルフ日本代表に大きく近づきました。
 前回はフィリピン代表で霞が関に登場した笹生、今度は日の丸を背負ってル・ゴルフナショナルに立つことになります。

4.笹生の他にも躍動した、日本人4選手

〇メジャーの大舞台に合ってる?これまでの不振から復調”シン・しぶこ”誕生へ、渋野日向子

 今シーズンは出場試合が限定され、1試合がより重要になっている渋野日向子ですが、今大会は5年前を思い起こすような出来でした。
 カップに止まりかけたボールが時間ギリギリで吸い込まれるラッキーなどがあり、3日目を終了し首位と2打差の好位置で出た最終日。
 過去3日間とはいかなかったものの、大ピンチがあったところを執念のパーセーブでカバーし、終わってみたら1アンダーの単独2位で終了。
 大会をアンダーで終わったのが渋野と優勝した笹生の2人だけ。メジャー大会で初めて日本勢のワンツーフィニッシュとなりました。
 LPGAツアーの年間順位を決めるCMEグループポイントも416ポイントを加算することとなり、シード権が与えられる80位までに入ることがほぼ確実となりました。
 シード権のことをこれから気にせずプレーに専念できることで、”シン・しぶこ”がこれからどうなるか楽しみです。

〇優勝争いは出来ず悔しい思いも、トップ10に入り五輪争い2番手に肉薄、古江彩佳

 2日間で3オーバー、3日目に連続バーディーを奪ったもののダブルボギーで後退し優勝から一歩遠ざかってしまった古江彩佳。
 それでも可能性をあきらめなかった最終日に、本大会初めてアンダーパーをマーク(2アンダー68)。6位タイで終了しトップ10に入りました。
 ロレックスランクも6ランクアップし22位に浮上し、山下美有夢(25位)を抜きましたが、日本勢2番手の畑岡が19位のため、古江は3番手に浮上した結果に終わりました。
 自身の結果如何ではロレックスランクが大きく上昇する、メジャー第3戦の全米女子プロ選手権が代表選考試合の最後に控えています。
 畑岡、山下も出場する予定なので、古江も好結果を出して五輪代表の座をつかみたいところです。

〇初メジャーでいきなりトップ10、今季の成長は”本物”であることを改めて証明、竹田麗央

 実母がプロ(平瀬哲子)、おばもプロ(平瀬真由美)である家系に産まれた竹田麗央。
 プロになりなかなか勝てない時期があったものの、今年地元熊本のKKT杯バンテリンレディスでツアー初優勝を挙げると、翌週のフジサンケイレディスも優勝し、ツアー史上4人目のプロ初優勝後2週連続優勝を達成。
 先月のブリヂストンレディスも危なげない内容で、4日間大会初優勝。
 ツアー3勝の勢いがどこまで通用するか注目されましたが、メジャー初出場としては十分すぎる活躍でした。
 2、3日目アンダーパーで回り自信をつけた竹田、最終日は難しいコースセッティングに悩まされる場面もありましたが、それでも圧巻のプレーがありました。
 239Yに設定された16H、3Wで放たれたティーショットはグリーンをとらえましたがカップまでは15m。
 しかしロングパットを見事に決めてイーグルを奪い、大ギャラリーを沸かせました。
 終わってみればトータル3オーバーの9位タイに入り、見事来年の出場権を獲得しました。
 これが自信になったのか、本来アース・モンダミンカップにエントリーする予定を変更し全米女子プロ選手権にエントリーすることを表明。
 持ち前のロングショットを武器に、またメジャーの舞台で戦う竹田の姿は次世代の成長を証明しています。

〇笹生と同組で興奮したものの、こちらもトップ10で来年の出場権をゲット、小祝さくら

 最終日は最終組から3組前で笹生と同組で回った小祝さくら。
 笹生のプレーを間近で見て、いろいろと感じるものがありました。
 自身も数年前からフェードを操るようにはなりましたが、まだものにしたとは言えませんが、笹生のショットから得るものがあったことでしょう。
 最終日は4バーディー6ボギーの2オーバー72,トータル3オーバーで終わりましたが、竹田と同様9位タイに入り来年の出場権を獲得しました。
 いったん帰国し日本で連戦となりますが、ここで得たものをこれからの試合で見せてくれるに違いありません。

5.日本女子プロゴルフ史上最多、メジャー競技でトップ10に5選手がランクイン

 メジャー大会でトップ10に入る人数が5人というのは新記録、これまでは2008年の全英女子オープンでトップ10に日本人選手3人が入るのが最高でした(不動裕理3位、宮里藍5位、上田桃子7位)。
 今回大きく更新した上、日本勢のワンツーフィニッシュとなった今年の全米女子オープン。
 日本女子プロゴルフ界にとってエポックメーキングであることは、間違いありません。

6.後輩の大偉業を先輩たちが祝福

 今回の大偉業に対し、先輩達から贈られたコメントを紹介します。

〇樋口久子さん(日本女子プロゴルフ協会 顧問)

 「笹生優花さん、おめでとうございます。持ち前の飛距離、集中力、パッティング技術など、すべてが際立っていました。 2021年、全米女子オープン制覇の偉業を達成してから、勢いがついてもっとタイトルを獲得するだろう、と大きな期待をしながら見守っていた。しかし、なかなか2勝目へ手が届かない。しかし、今回は厳しいコンディションが大きな刺激となって、覚醒したかのような素晴らしいプレーを存分に拝見することができました。本当に強かった」

日刊スポーツ

〇小林浩美さん(日本女子プロゴルフ協会 会長)

「嬉しい!嬉しい!嬉しい!!!嬉しくて仕方がありません。全米女子オープン2勝目、誠におめでとうございます。笹生さんの元々の持っている素晴らしいショット力が炸裂(さくれつ)し、後半の集中力はまさにゾーンに入っていました。  全米女子オープンでは、1勝目は日本ツアーからの選手として出場して勝ち、メジャー2勝目は米国ツアーで揉まれ、結果が出ずに苦労してきた中で、いろんな強さを身につけた結果と感じます。一緒に出場していた日本選手も大きく感化されたに違いありません。今後ますますメジャー含め勝ち星を重ねてください」

スポーツ報知

〇宮里藍さん

「もう凄い凄い嬉しい。優花ちゃんに関してはアマチュアの時から知っているので、それだけ感情移入しやすい部分もあるんですけど」
(中略)
「メジャー1つ勝つだけでも大変なことですけど、この2勝は多分それの倍以上の重みがあると思う。やっぱりメジャーチャンピオンとして求められることっていうのも今後出てくると思いますし、そういったものにも対応しながら引き続き頑張ってもらいたい」

スポーツニッポン

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