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【あとがき】存在



本編を読んでくださった方ありがとうございます。こちらはそのあとがきになります。

今回は何か普遍的なものを書きたいと思っていました。まずは人間にとって(可能なら他の生き物にとっても)普遍的な事柄は何だろうと考えました。

「生き物」と限定したことから答えは想像していたよりも簡単に導かれました。それは死です。

どんな人間も死ぬことは避けられない。そしておそらく生きている間に他の人や他の生き物の死を目の当たりにする。

私たちが普段食べているお肉やお魚だって命をいただいているわけですからそこにも死があります。そして毎日のニュースでも死者が何人という報道を目にしているかと思います。

おそらくこのような死に直接関わっている人は多くないと思います。もう少し直接的な言い方をすると、その死の当事者ではないかと思います。大事に育てたお肉やお魚を殺したり、画面の向こうで報道されている死者の遺族だったりすることは少ないと思います。

その一方で身近な人の死は当事者になり得る人が多いのではないでしょうか。これは私が人とお話ししたいことでもあるのですが、身近な人が死んだ時にそれでも地球は回り続けていることは希望になりましたか?絶望になりましたか?

身近な人を失ってすぐの私にとってはそれが絶望でした。私にとって大切な人が亡くなったのに世界は知らん顔して今日も昨日と同じような一日を過ごしている。私はこんなに悲しくて日常生活を普段通りに送ることなんてできないのに、世界にとっては私の身近な人の死なんて関係ない顔ができるんだなと思ってしまいました。

そう考えている私だって毎日毎日世界中で人が死んでいるのに昨日と同じような一日を今日も過ごしている。

命の重さはみんな同じはずなのにその死との身近さによって私たちはとても悲しんだり、知らん顔したりできてしまう。

もちろん全ての死に対して全ての人類が同じように悲しんでいては社会が回らないこともあると思うので感情移入しすぎないことの大切さもあるのかもしれません。

私たちは死は避けられないとしても、どうにか殺しはなくなってほしいと願うものです。

どんな殺しも最低最悪ですが、その最上級が戦争だと思います。

戦争のニュースを聞くたびに残虐な行為は恐ろしいと感じます。しかし、それ以上の言葉が出てきません。残虐さに対して私の持ち合わせている言葉をどう紡げば適切な表現ができるのか分からないのです。

細かい分類が必要ないくらいに酷いと言えばそうなのかもしれませんし、非日常すぎてその言葉が浮かんでこないと言えばそうなのかもしれません。それでも、語れる言葉を見つけるために学んで、語れる言葉を見つけるために考えないといけないのだと思います。

戦争自体が最悪なものですが、戦争という最大巨悪が行われることで個別的残虐行為の実行難易度が下がってしまう状況が起きてしまうのならば戦争の巨悪性はより増していくと思います。そうやって戦争はより酷いものへと成り下がっていく。戦争が長引くほど現地の被害者の傷は深まっていくのに外野の関心は浅くなっていくばかり。

その最大巨悪に対して私は願うことしかできていないのです。大きな争いが起きてたくさんの人々が犠牲になったのなら全て全て解決していてほしい。

戦争が解決策になってほしくはないけれど、たくさんの人々が犠牲になったのなら全て全て解決してほしいと思ってしまう矛盾。誰も犠牲にならないで問題が解決できることが一番であることには変わりない。

戦争にしろ事件にしろ過去に起こした罪を未来における罰で解決できるわけではありません。だから過去に戻って罪を起こさないことによってしか償えないのですが、私たちは過去には戻ることができないので、過去の罪をもとに未来の罪を未然に防ぐことが大切なんじゃないかと思います。

私たちは死を避けることはできませんが残虐な殺しがどうかこの世からなくなりますようにという願いを込めてあとがきを締めたいと思います。


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