TokyoDex、“ロゴのプレゼン案”、すべて見せます! 「デザインとアートのちがい」とは? アーティストと企業のエージェンシー。
▲ アーティストと企業をつなぐエージェンシー「TokyoDex(トーキョーデックス)」ロゴマーク。
「多彩な存在感」というコンセプトで制作。
「アート描写と心が動く人」をシンボル化。キャッチーな期待感、可能性の広がりを表現した。
シンボルマークは、様々なアーティストとコラボレーションできる、作品キャンバスにもなる。
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▲ 「TokyoDex」主催イベント、「This&That Café」より。音楽ライブ、ライブペイント。国内外、文化の枠を超えた人々が集まる。
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■ 「デザインとアートのちがい」とは ?
さて、みなさん! 「アート」にどんなイメージをお持ちでしょうか??
私がデザイン専門学生の頃。アート科のI先生がおっしゃっていた言葉。今でも覚えている。
当時、感覚としてモヤモヤっとしていたことが、クリアになった言葉。
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ビジネス上の「デザイン」は、「クライアント」がいて成り立つ。
「クライアント」の「デザインを通して、こうしたい! こうしてほしい!」 = 「改善・問題解決の要望」といった、「具体的な目的」を形にして、「ゴール」に達成させるのが、デザインの力であり、デザイナーの役割なのだ。
そんでもって、その「目的を形にする力」に「デザインの価値」がある。
それでは、「アート」はどうだろう??
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「デザイン」と「アート」を比較した場合、「明確な目的があるか、ないか」というポイント。
つまり、「アート」には「(これを具体的にこうしてほしい等の)明確な目的」がなく、「描き手自身」のテーマ・モットーにもとづいた、「感覚・表現」を形にする。
この描き手からあふれる、ストレートな「感覚・表現」を見た者は、各々の捉え方によって「心が動く」。喜怒哀楽、考えさせられること。各々の感情が、各々の感性・行動につながる。
受け手それぞれの感覚で、「心が動く」ことに、「アートの価値」があるのだ。(僕の主観なのだ)
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■ 「TokyoDex」の事業内容とは?
……ということを踏まえまして、「TokyoDex」さん、オフィスアートの制作事例をお伝えします。
……つまり、「目的」がある中、「アート」を実施。TokyoDexさんの事業、活動内容は、ある意味、とても「デザイン的」だと感じるのです。
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■ 今回のnoteは、「実際のデザイン提案時の資料」をすべて公開します。
さて、今回は、特別に!
「ロゴ制作フロー」を深く深く掘りさげ、「実際のプレゼン提案時の資料」=「コンセプト立案 〜 検証案 〜 展開検証 〜 方向性決定 〜 フォルム検証 〜 ロゴ案決定」までを包み隠さず、すべて公開します!!
題して、「すべて見せます!」の回。えっ。
私とは、資料公開後、下の方でまた会おう!
おい、高速スクロールで進むんじゃないぞ! スクロールする時は、やさしくソフトに。もっと愛してやれよ、お前の相棒、マウスだろ。
それではっ。
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■ 000. デザインコンセプト・提案の流れ
▶ 000_01 :ロゴの「希望の方向性・デザインコンセプト」
▲ まず、「ヒアリング時に聞いた内容・要望」を整理します。与件の整理、というやつです。
「ロゴを見た方に、どんな印象を感じてほしいか?」という私(デザイナー)の質問に対し、TokyoDex(クライアント)さんから、
……という返答をいただきました。ここまではOK。さらに強い要望として、
……という内容。
これ、MTVのロゴのように、ベースとなるロゴがありつつ、いろんな表現ができるようにしたい!
TokyoDexの強みは、いろんなテイストをもつ、いろんなアーティストとのつながり。つまり、その「特長を具現化する」イメージとして、ロゴをキャンバスに見立て、ロゴの中でアート表現する! そんなロゴ!!
……諸々の要望をまとめまして、出したデザインコンセプトがこちらです。
感情、可能性の広がりを感じる“多彩”さ、アイデンティティとしての“存在感”。
「多彩な存在感」が伝わるロゴマーク案を制作する。これが、本プロジェクトのゴールなのです!!!!!
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▶ 000_02 : ロゴデザインの「提案・検証の流れ」
▲ 「ロゴ提案方法(見せ方・流れ)」は、プロジェクト毎によって変わってまいります。
……などなど。そして、今回は、「“イメージテーマ”を3方向に分け」提案するスタイル。
……というステップを経て、「独自性・オリジナリティ・展開性の魅力」 を検証し、コンセプト 「多彩な存在感」 がより伝わるロゴマーク案(= ゴール)を制作。
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■ 001. ロゴ初回提案
▶ 001_01 : ロゴ初回提案_「A方向:キャンバス」
さて、いよいよ、ここからデザイン提案です!
まずは、イメージテーマ、「A方向:キャンバス」。キャンバス感が伝わる、シンボルマークの提案カテゴリでっせ。
各提案下には、“一言解説”を載せていきます。
「なるほど、こういう意図があって、この案をつくったのか!」とわかると、「このロゴにすべきか、否か」より判断しやすくなるのです。
▲ 東京からはじまり、 可能性が重なる、 多彩な展開。
▲ 多彩なキャンバス、 力強いフレーム、 はみ出す勢い。
▲ フレームの中から見えてくる、 多彩な表現・可能性。
▲ 直感的にわかりやすいアート、 多彩なフレーム。
▲ “東京・D”を重ねる振り幅、 高まる期待感。
▲ キャンバスとアート的なシズル、 見えてくる多彩さ。
▲ 重なる“T・D”から見えるキャンバス、 多彩な動きと勢い。
▲ 信頼感の上に成り立つキャンバス、 手堅くしっかりと。
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▶ 001_02 : ロゴ初回提案_「B方向:タイポグラフィ」
さて、ここからはイメージテーマ、「B方向:タイポグラフィ」です。
独立したシンボルマークを存在させず、「文字のみの構成」でコンセプトを具現化するカテゴリです。
▲ 直感的にアート・描写をわかりやすく、 期待感と心の動きを伝える。
▲ 特徴的なマテリアルを組み合わせたタイプ、 表現の振り幅。
▲ 直感的にアート・描写表現を伝えるタイプ、 躍動感。
▲ 動きと魅力あるパーツを重ねて浮かび上がるタイプ、 期待感。
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▶ 001_03 : ロゴ初回提案_「C方向:グラフィック展開」
ここからは、イメージテーマ「C方向:グラフィック展開」。
ロゴ単体での使用よりも、ロゴから「派生して、どんな展開ができるか??」という、展開性を重視にした、提案内容です。
▲ ベーシックさと違和感の振り幅、 縦横ラインでアートの可能性・広がりを伝える。
▲ “T・D”を重ねて成り立つシンボル、 心地良いリズムと存在感。
▲ ストレートパーツから成る漢字・カタカナのシンボル、 キャッチーな印象。
▲ “T・D”の構成ラインは縦横可変なシンボル、 可能性の拡張・表現の振り幅を伝える。
▲ “ART”の文字が浮かび上がるタイプ、 アートによる発見と心の躍動。
▲ 描写イメージを抽象的にシンボル化、 キャッチーな期待感。
▲ 様々な“T”タイプが重なるシンボルで多彩さを表現、 クールな面白さ。
▲ 人とのつながり、 アート的描写、 親しみと派生感。
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■ 002. “ロゴマーク構成の推奨案”をもとに、「展開検証」を行う。
▲ 上記、「ロゴマーク構成_推奨案」10案をもとに、「展開検証」を行う。
さらに“決定判断をしやすくする意図”で、このロゴに決まった場合、実際に「どのようなグラフィック展開できるか??」のイメージを見てもらいます!
▲ ロゴマーク「展開」:検証_001。
▲ ロゴマーク「展開」:検証_002。
▲ 「初回提案ロゴ」の一覧。
……はい! ここまでが初回提案です。
この提案をもとに、クライアントさんから「ロゴ案の選抜、選抜した理由、選抜案をどのように調整したいか??」などの意見・要望をいただきます。
ポイントとしては、初回提案がいきなりゴールにシュートを打つのではなく、「提案内容を種に、意見・調整検証のラリーを経て、明確なゴールに近づけていく」のがいいでしょう!
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■ 003. 調整検証、2回目の提案。
初回提案をもとに、クライアントさんの「ご意見・ご要望」をいただきました! その内容がこちらです。↓
▲ クライアントさんからいただいた、「初回提案からの選抜案(上記のロゴ案)・選抜案をもとにした、調整希望内容」。
……上記4点の「検証 → 推奨案の選抜」を順番に行う!
……という 「判断基準」 をもとに、 推奨案の選抜を行うんだ! いくぞ!!
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■ 003_01:シンボルマーク_調整検証:「シンメトリー(左右対称)or アシンメトリー(左右非対称)」 × 「動きを小さく or 動きを大きく」
▲ 検証:A_001:シンメトリー / 動き_小。
▲ 検証:A_001:シンメトリー / 動き_大。
▲ 検証:B_001:アシンメトリー / 動き_小。
▲ 検証:B_002:アシンメトリー / 動き_大。
▲ シンボルマーク_推奨案一覧:より「デザインコンセプト(多彩な存在感)」を感じる、「推奨案」を選抜しました!
「推奨案」は、右上に“赤い四角”がついているマークです。
この推奨案をもとに、両端についている「●」の位置検証を行います! GoGo!!
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▲ 検証:002 :シンボルマーク推奨案から、「両端玉位置」の調整検証を行い、さらに「コンセプト」を感じる、「推奨案」を選抜!
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▲ 「検証001・002」を経ての推奨案一覧。
* ここでも、「コンセプト」を感じる、「推奨案」を選抜しましたよ。
各ステップで選抜・推奨された案通しを、さらに比較検証して、「よりふさわしい」と感じる案をどんどん絞っていくのです。
勝ち抜き戦、ならぬ、勝ち抜き選。
そして……上記、残った「推奨_シンボルマーク」 をもとに、「ロゴタイプ検証」を行います!!
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▲ 検証:003:ロゴタイプ検証:上記画像内、赤印をつけた「推奨ロゴタイプ」 をもとに、「シンボルマークのフォルム検証」を行う。
▲ 検証:004_01:フォルム検証_ベーシック。
▲ 検証:004_02:フォルム検証_エッジ。
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■ 004:ロゴデザイン確定! 改めて、デザインコンセプト。
……そして。
「“形状・構成バランスの心地良さ”はあるか?」「“モーショングラフィックやキャンバスの機能”として適しているか?」などの視点を踏まえ、下記ロゴに決定しました!
ドン!!!!!
▲ 「多彩な存在感」というコンセプトで制作。
シンボルマークは、人・描写・感情等の動きを抽象的に表し、色の変化やビジュアルのトリミング、モーションなどの展開が可能。
アートの可能性と親しみやすさ、ストーリーを感じるロゴマークである。
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■ まとめ。検証の繰り返し。「より良い判断」のため、目を鍛える方法とは?
よっ! 今回のnoteは、「『ロゴ制作の途中経過・プレゼン案』を編集・カットせずに、ぜーんぶ見せる!」という意図でやってみました。
いかがでしたか……??
……え? ながい?? その通り!!!!!
「1つのロゴ」を決めるにも、「こーんな(これ以上の)案の検証数があって、文字・形状・色・組み合わせ検証がある」のです。
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制作スタート時に立てた、「デザインコンセプト」の視点で、各検証段階で「より良い!」と思ったのを選抜していって、次の検証ステップに進める。
ひたすら、それの繰り返し。
だからこそ、「意図・意志が練り込まれた、強固なデザイン」ができるのです。
「より良い!」と感じるポイントは、提案前は、ディレクター・デザイナー判断、提案中〜後は、クライアントさんとの協議になる。
その視点は、「普段から、いいデザインを意識して(その形になった理由を考えて)見ているか??」これに尽きます。
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……というわけで、最後に。声を大にして言おう。
他人の評価数・評価基準に惑わされず(参考にしてもいいけど)、「そのシーンに求められる、正しい評価軸」で、“自分の視点”を信じて、“自分の目”を鍛えておこう。“独自の感性を磨く”ってこっちゃ。
そうしないと、既存のコピー、誰かの二番煎じ、人と同じもんしかつくれなくなっぞ。
そしてそして、「見た数と同じだけつくる」ことが大事。
ロゴ1個を見たら、ロゴ1個をつくる。ポスター1枚を見たら、ポスター1枚をつくる。
「インプット数 = アウトプット数」を同じにする。そうやってはじめて、クリエイティブ脳が発達するのです。(脳科学的にもショーメー)
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最後まで丁寧に読んでいただいた方も、高速スクロールでここまで辿り着いた方も! 心より、感謝申し上げます。ありがとうございます。
うしゃしゃ! また、お会いしましょう!!
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* 2020年1月8日_追記 : 本noteの「▶ 動画版 YouTube」を公開しました。よろしければ、下の動画↓もご覧いただけると嬉しいです!
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また、興味がある方は、より詳しい“ロゴデザインのコツ”がわかる、著書の小説か勉強本をご購読いただけると幸いです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!!
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