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【新聞社の仕事】罫線リストラ〜なんだ、その線は!

新聞レイアウトの仕事を始めたばかりのころ。紙面作りに使う専用のパソコンの使い方が少しずつ分かるようになり、世界がひらけてきたような気がした時期でした。

慣れてくると、冒険したくなるものです。パソコンには、いろんな線を面でひける機能があります。「なにこれ〜」と、たまたま普通の記事で試しにひいてみたのが、亡くなった人の記事、いわゆる訃報記事に使う罫線でした。

先輩に「それは絶対ダメ〜!」と言われたことを覚えています。

罫線いろいろ

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=Weblioより

この一覧でいうところの「子持ち罫」に相当する罫線が、訃報に使う罫線です。なぜこれが訃報なのかはよく分かりませんが、新聞を読んだことがあれば、見たことがある方も多いのではないでしょうか。各社だいたい使っていると思います。上で言えば無双罫なんかも、紙面全体を区切りたいときによく使います。

これらのほかにも、植物の記事のときに使うことがある、花のつるのような罫線や、相撲の記事で使う罫線も存在します。

種類を少なく、がトレンド

最近では、そういう多種多様な罫線の種類をなるべく少なくして、見やすくしましょうというトレンドがあります。うちの新聞も、訃報罫や無双罫は残っていますが、それ以外の特殊な罫線は登場する機会がめっきり減りました。

それって本当に読みやすい?

でも、思うのです。新聞社が良かれと思って罫線を整理してたって、多種多様な罫線があったときより部数は減っているではないか(理由は違うけど)。そもそも、「罫線リストラ」で本当に読みやすくなっているんでしょうか。

たとえば、一覧でいうところの「かすみ罫」。私がレイアウトを始めたばかりの頃は、レイアウト紙面の左右を区切る大きな罫線として使うものだと教わりましたが、今やこの罫線は絶滅危惧種になってしまいました。でも、この罫線の何が悪いのか、私は知りません。

読者にとって、罫線など、どうでもよいと思いませんか? 罫線の種類をかたくなに守ることが、どれだけ新聞製作にとって意味を持つものなのでしょう。そこまでめくじらを立てること??と思うのです。

マインドをもって使うのはアリでは

とはいえ、いち会社員としては、ほかのページがそういう流れなのに自分だけ意味なく罫線を変えるわけにもいきません。

その罫線を、マインドをもって使うのはアリなのではないかと思うのです。

だいぶ前ですが、めったに使わない「波罫」を使いました。それは、新しい切手が発売されたという記事で、ちょっと目立たせたかった。ちょうど、切手っぽい罫線。縦と横の比率も切手みたいにして、四方をこの罫線で囲んだ「囲み記事」にしました。

また、植物の記事に使うつるのような罫線をデザインとして使って商品券っぽく見せてプレミアム商品券の記事の見出しの添え物に使ったこともありました。

多種多様な罫線を「使わない」ことを目的にするのではなくて、あくまでも伝えたいことに対してどう罫線を使うかが大事だと思うのです。

今回はちょっと専門性の高いお話でした。




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