SAKE DIPLOMA 試験対策を「超える」対策 その7 【洗米~蒸きょう】
こんにちは。
「あと」です。
今回は、日本酒製造の序盤戦である洗米から蒸きょう(蒸し)について見ていきます。
出荷までの長い長い旅路のスタート。何事も始めが肝心ですが、それは日本酒造りも同様です。SAKE DIPLOMA認定試験勉強に関しても、覚えることがたくさんあるパートでもあります。
個人的には、後の麹や酒母を造る工程に比べて、洗米から蒸しの工程は少し地味な印象を持っていました。準備運動のような捉え方をしていたとも言えます。たしかに準備運動の側面は無きにしも非ずですが、知れば知るほど、地味さとは程遠い奥深い魅力が洗米から蒸しの工程には隠されています。
早速、その奥深い世界を一緒に覗いていきましょう。
1.南部美人と八海山を「読む」
突然ですが皆さん。
日本酒を、読んだことはありますか?
「飲む」ではありません。「読む」です。
これは、どういうことか。今回は、まずこの話から始めたいと思います。
日本酒を造っているのは、他でもない、全国津々浦々の酒蔵です。情報化が進む現代において、インターネット上のホームページやSNSで情報発信を行っている酒蔵も少なくありません。
そして、そんな酒蔵のホームページを覗いてみると、それぞれが酒造りに込める哲学やこだわりを文章にして載せてくださっている場合があるのです。それを読むと、蔵人の方々の情熱がありありと伝わってきて、実際に飲む時とはまた違った日本酒の魅力に触れることができます。これはまさに、日本酒を「読む」楽しさと言えるでしょう。
SAKE DIPLOMA認定試験の勉強を進める際にも、日本酒を「読む」ことで学ぶことはたくさんあります。それぞれの酒蔵は、工夫を凝らして日本酒の魅力を紹介してくれています。そこからは、教本では掴みきれない、酒造りの具体的なイメージが捉えられるでしょう。
今回、洗米から蒸しの工程について書いていく上でも、日本酒を読みながら歩みを進めていくことにいたします。
お世話になる酒蔵は、超有名銘柄を生み出す、株式会社南部美人様と八海醸造株式会社様です。この二つの酒蔵のホームページには、それぞれの酒造りの様子が実に詳しく紹介されています。まさに、日本酒を「読む」魅力に触れるにはピッタリですね。
その素晴らしい記事を紹介しながら、洗米から蒸しまでの工程について見ていくことといたしましょう。
2.洗米は、キックオフだ!?
私、日本酒と同じかそれ以上に、サッカー観戦が大好きです。
サッカーにおけるキックオフは、試合開始を告げる瞬間です。そこでまずはボールをゆっくり大事に回し始めるのか、はたまた前に大きく蹴り出して前がかりに攻めていくのか、その試合にかける想いを垣間見ることもできます。
洗米という工程は、まさにこのキックオフに似た性格を持ちます。
文字通り、米を洗う工程なのですが、そこにはこれから始まる米作りの方向性を定める上で見逃せないポイントがあります。
それは、吸水率です。
米がどのくらい水分を吸収しているか見定めることは、その後の麹造りや酒母造りといった工程の成否に関わります。その吸水は、洗米の段階から始まるのです。つまり、この洗米の工程には、その後の酒造りの方向性を定める「キックオフ」の役割があると言えるでしょう。
洗米の重要性に関しては、八海醸造様のホームページにも以下の記載があります。
洗米で失敗してしまったら大変です。洗米も大事な仕事なのです。
いい麹を造り、いいもろみを造り、そして、いい酒を造るためには、洗米の時に米粒が吸い込む水分量が大きなポイントです。だから、水分量を厳密にコントロールしなくてはなりません。洗米機は米粒に付着している糠を洗い流すと同時に、水分量の調整という役割も担っています。 だけど、機械任せにしておけばいいかというと、そうもいかないのです。精米の技と「枯らし」による調整をしていても、洗米にまわってきた白米は、微妙な違いがあります。年によって米の品質も違います。洗米を担当する蔵人は、この違いを見極めた上で、洗米機を操作しなくてはなりません。そこに洗米の「技」があるのです。
八海醸造株式会社には、日本中にたった2台しかないような高価な洗米機があるそうです。しかし、そうした洗米機を操る蔵人の「技」こそが大切なのですね。
3.蒸きょうの 成否を分ける 味覚かな
いきなり五七五の川柳で始めてみました。笑
ここからは、蒸きょうの工程です。先程の川柳で紹介したとおり、米の蒸し加減を見極める際に重要なのが「味覚」です。
どういうことなのか、株式会社南部美人様のホームページを参照してみましょう。
この蒸し具合を見る方法が「ひねり餅」です。少量の蒸し米を手に取り熱いうちに手のひらでひねって餅をつくり、その餅の具合で蒸し上がりを見ます。
SAKE DIPLOMA認定試験の教本には記載が無いのですが、蔵人の方々の研ぎ澄まされた味覚が蒸きょうという工程のキモとなっているのが分かりますね。
八海醸造様のホームページにも、ひねり餅による蒸し具合の判断に関する記述がありました。
昔から釜場では、「捻り餅」(ひねりもち)で水分量をチェックしていました。蒸したての熱い蒸米を少し手のひらに取って、手のひらの上で蒸米をこねて、餅のようになったものの感触で水分量を測ったのです。これは今でも行なわれています。経験を積んだ蔵人なら、「捻り餅」の感触でかなり正確に蒸米の状態を判定できるからです。
機械化が進んでいる現代の酒造りの現場においても、脈々と受け継がれてきた職人の技が不要になることはありません。むしろ、機械化が進んでいるからこそ、機械のデータを元に最終判断を下す職人と存在が重要であると言うことができるでしょう。
注)私は、まだまだ日本酒を勉強したての身であります。記載事項に関しては、自らのSAKE DIPLOMA認定試験合格の武器になったことは事実ですが、専門的見地からすると誤りであることも多々あるかと思います。その際は、ご指摘を頂けると非常に助かります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?