スクラムの構造とそのメカニズム#3

こんにちは。あとうです。GWも明けて、トップリーグもいよいよ大詰め。サンウルブスの再招集もあり、わくわくが止まりません。

今回もお付き合いいただけたら嬉しいです。

スクラムの構造とそのメカニズムについて、スクラムはアーチ橋ですと1話、2話とまとめてきました。今日は、その橋を構成する部材に注目して、どのようにスクラムに応用していくのか、またその練習のポイントについてお話ししたいと思います。

※参考に今までの記事を載せています。

アーチを作る重要性については、1話、2話で理解いただけたと思います。

今日覚えて頂きたいことは、『見た目が美しいことは、強度も担保されている』です。

では、その橋を構成する部材を見ていきましょう。

下の写真は、東京下町の隅田川にに架かる『蔵前橋』です。黄色の橋です。

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1枚目は橋の全景です。美しい!

2枚目の写真は橋の構造を下からと横から見たものです。

2枚目の前 (画面の前後方向)に伸びている部材を『アーチリブ』、横 (画面の左右方向)に入っているものが『横桁』と呼ばれるものになります。

アーチリブは圧縮の力を地面に伝達するための部材です。横桁は横からの力にアーチリブに逃がすために設定されている部材です。

見て頂いた通り、何本のアーチリブは平行に連なり、横桁は等間隔で、しかもアーチリブに垂直に結合されています。非常にシンプルで、美しい構造です。

美しい構造は、『特定な箇所に集中して荷重がかからず、正しく荷重を伝達するという』という利点があります。

もし、途中で変形している構造であれば、その部位に荷重が集中しますので、少ない荷重で破断を起こしてしまいます。それでも破断をさせないとなるととても大きな補強材をその部位にあてがわなけばなりません。そうすると見た目がどんどんおかしくなってしまいます。

なので、写真のような整然としたシンプルな構造が、実は構造的にも強度を担保しているのです。

では、スクラムで見てみましょう。

人間の場合、アーチリブは背中と足、横桁は肩と骨盤あたりになります。

スクラムを組む時には『足幅は肩幅くらいに開き、膝とつま先は外に開かず真っすぐ』にと言われます。上の写真を見て頂けると理由がわかると思います。それは足という部材が平行になり、均等に荷重を伝達するからです。イメージは下の絵になります。薄い青は背中(肩と骨盤含みます。横桁は板の両端とイメージください)、濃い青は足を表します。

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もし、これが肩幅より広く、かつは膝が外に開いていたらどうなるのでしょうか。下の図をご覧ください。

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どちらが美しいでしょうか。一目瞭然で上の方だと思います。2話でお話ししたスクラムが崩れるメカニズムにも通じますが、上の図だと背中に受ける圧縮力が、素直に足を通じて地面にまで伝わります。膝のヒンジにも開き方向にはいきません。一方、下の図は膝が外に向いているため、上半身と太ももで荷重を受け持つ面積が少なくなってしまい、破壊(崩れ)を招きます。

具体的にいうと背中が上方向に押し上げられ、おしりを前に動かすことで太ももの筋肉を使って耐えようとします。そこには新たな補強がないため、圧縮力に耐えきれず、破壊(崩れ)に至ってしまいます。(下図参照)

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では、どのような練習をすればよいのでしょうか。

それは基本姿勢を体得する、壁押しが有効です。でもそのやり方次第では全く意味をなさなくなるので注意しましょう。

まず足幅を肩幅くらいに開き、膝とつま先を真っすぐ前に揃えます。そこからおしりを後ろに突き出し、その反動で上半身を倒してください。上半身から倒そうとすると足幅が窮屈になり、膝が外に向く原因になります。

この姿勢から膝を地面に近づけるようにしてください。

壁に手をつき、背中が反る位置に足を下げて下ださい。その際に腕と背中が直線に、また膝の角度は90から120°になるようにします。腿裏とひざ下で二等辺三角形を作るように意識してください。

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最後に、膝を地面に近づけていきます。膝と地面は指1本の隙間になるまで下げれるようにしましょう。※最初は指5本分の隙間を維持することから始めましょう。

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この姿勢を60秒維持してください。

もし、腕が背中と直線でない場合、膝を地面に下げようと上半身が立ち上がるので注意してください。(下図参照)これでは練習が全く意味をなさなくなります。

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上記のPOINTを意識し、美しさを追い求めてください。

60秒ワーク、60秒レストを1セットとして、10セットが目標です。めちゃくちゃしんどいですが、美しい姿勢を手に入れることができます。

今日のまとめ

美を追求することが、スクラムを強くする第1歩になります。

次回は人で1対1を組んだ時に美しい姿勢をKeepする方法をお話ししたいと思います。

皆様のご意見等いただけたら幸いです。

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