スクラムの構造とそのメカニズム#2

先の記事では、スクラムはアーチ橋だというところからスタートしています。私が考えるスクラムの根底は、このアーチが肝だと思っています。

ただ、アーチ橋を人間で再現すると非常に不安定な構造物になります。今回は、なぜ不安定なのか、安定したものにするにはどうしたらよいかを考えていきたいと思います。

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不安定になる要素として、人間は関節というヒンジをたくさん持っています。ヒンジと言えば、ドアの蝶番を思い浮かべると思います。

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スクラムを組むにあたっては、このヒンジは圧縮力を次の部材に伝達する役割を担ってもらわなければなりません。

その蝶番の使い方次第で、スクラムは非常に不安定な構造になってしまうのです。ドアの開け閉めをどのように設計するか考えながら、スクラムが壊れるメカニズムをご覧ください。

※人体を単純化して書いています。頭、おしり、膝、足首を〇で、つま先を△で記載しています。

ケース① 

スクラムを組んだ直後、オレンジチームが足を下げてしまった場合。

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オレンジチームのおしりのヒンジを中心に、スクラムが崩れています。青チームはすべてドアが開くようにヒンジを中心に開いていっているように見えます。見るからに不安定ですよね。

ケース② 

スクラムを組んだ直後、青チーム、オレンジチームともに足を下げてしまった場合。

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両者頭を下げてしまい、かつ足を下げているため、下半身のヒンジはすべて開き方向へ、おしりのヒンジは閉まり方向になります。このスクラムの崩れ方は、本当に危険です。重篤災害になりかねない事象です。

では、どのようにすればよいのか。

安定化させるには、アーチを作りに行くのです。アーチを作るには、膝のヒンジが一番重要になります。では見ていきましょう。

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膝を地面の方に落とす(回転させて)、太ももとふくらはぎをドアを閉めるようにすると、おしりが上に上がります。さらに足首のヒンジは膝下と爪先が開き方向になるので、つま先を前に出してやらないと力が入りません。さらに、お尻が上に向いて膝が下がると頭が上がりますので頭を頂点におしり、足首ときれいなアーチを描くことができます。

そうすると、最初の記事で述べた、圧縮力がつま先を通じて地面に伝わり、安定したスクラムが組めるようになるのです。

次回は、これらを踏まえて基礎練習メニューを書きたいと思います。

続いて、3対3のスクラム、8対8のスクラムを解説していきたいと思います。

様々なご意見をいただけますと幸いです。

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