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学業成績と開放性との複雑な関係

これまでの研究の中で,ビッグ・ファイブ・パーソナリティと学業成績との関連は何度も検討されてきています。

そして,この関連についてはメタ分析も行われています。その中では,ビッグ・ファイブ・パーソナリティのうち学業成績に関連するのは,まず勤勉性(Conscientiousness),そして開放性(Openness)です。


開放性と学業成績

勤勉性については,きっと勉強の計画を立てて目標に向かって着実に課題をこなしていくのだろうなというイメージが沸きます。では,開放性についてはどうでしょうか。

開放性にはいくつかの下位側面があります。そして,その内容はおおきく2つの要素に分けることができるようです。ひとつは知的な側面への開放性です。これは,知的好奇心や広い思考,新しい刺激への関心や興味といった内容を表します。そしてもうひとつは,感覚に対する開放性です。これは,芸術への関心,感覚の探求,空想をすることなどを含む側面です。

これらの2つの側面を考えた場合,知的な探求を伴う知的な側面への開放性は学業成績を高める方向に関連すると予想されます。その一方で,感覚への探求を含む側面は,学業成績に対してむしろよくない結果をもたらす可能性も考えられます。

開放性を考えるときには,この2つの側面を十分に考えておく必要がありそうです。ごちゃ混ぜにしてしまうと,プラスの側面とマイナスの側面を両方とも含んでしまうからです。

開放性の要素と学業成績

では,実際に開放性の側面を考えたときには,学業成績との関連はどのようになるのでしょうか。この点に注目した研究がありますので,この論文を見てみましょう(Aspects of openness as predictors of academic achievement)。

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