人に自分の基準を押しつけないように
実家の裏には,自分が生まれるずっと前から機織り工場がありました。
この音が相当うるさいのです。朝8時前から夕方6時頃まで,日曜日を除いて毎日,ガッチャンガッチャンと大音量の騒音が鳴り響いていました。
たぶん我が家を訪れた人は驚いたのではないかと思います。うちに遊びに来る友人たちも,当時は何も言っていませんでしたがきっと「ひどい環境だ」と思ったことでしょう。年中ほぼ休みなく,大音量のノイズが鳴り響いているのです。
まあ,しょうがありません。毛織物の町ですから……
私も「うるさいな」と思ったことはありました。でもしょうがないのです。その家で育ったのですから。私がその環境を選ぶことはできません。
私が高校生の時です。
その工場がつぶれました。突然工場が壊され,毎日の大音量ノイズもなくなり,突然わが家に静寂が訪れたのです。
そんなうるさい環境に長い間いたのですから,工場がなくなり静かになり,きっと家族ともども精神的にも健康になったのだろう,と思うのではないでしょうか。想像するストーリーとしてはそうでしょうね。
実際はどうだったでしょうか。
日常の大音量ノイズがなくなったことで,私は体調を思いっきり崩してしまいました。私にとっては,日曜日と正月以外,ほとんど毎日鳴っているノイズに浸っていることが日常であり,ずっと音が鳴らない環境というのは非日常だったのです。
当たり前だろうか
普通に考えれば,静かな環境が「よい環境」であり,騒々しい環境は「劣悪な環境」と考えるものだと思います。
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