迷わずにゴールまでたどり着けますか
今回は,『失われゆく我々の内なる地図:空間認知の隠れた役割』という本を紹介したいと思います。こちらの本です。
認知地図
普段使う言葉として「方向感覚」という表現の仕方をします。もう少し専門的には「認知地図」という言葉で表現されます。認知地図というのは,それぞれの人が持つ環境に関する知識や,空間情報に関する認識のことです。地理的な場所や道路やランドマークなどの位置や関係が認識されること,経路について考えたり見つけ出したりすること,経験に基づいて更新したり学習したりすることなどを指します。
そもそも
そもそも人類はみなアフリカを出てから世界中に広がっていきました。もともと,進むべき道を見つけてそこに向かっていくという特徴を,もともと私たちは持っていたとも考えられます。
迷子の子ども
この本の中ではいろいろな面白い研究が紹介されているのですが,道に迷った子どもたちの観察研究はなかなか面白いと思いました。多くの場合,親が予想する以上に遠くまで行ってしまうそうです。また,思った以上にいろいろなところを通っていくこともわかって,人間の本性が現れているように感じます。
性格との関連
空間能力の個人差に関連するパーソナリティ(性格)の研究は,もちろん行われています。本の中に引用された研究の結果によると,次のような関連があるそうです。
弊害
ところで,現代の私たちはもう地図を見て自分で経路について考え,街の中を見て目印を目安に道を進むこともほとんどなくなってしまいました。スマートフォンを見れば,そういうことは必要ありません。
しかし,そのことによって,本来持っているナビゲーション能力は大きく影響を受けることも確かなようです。ふだんからGPSデバイスを用いている人は,住んでいる町の地図を描かせただけでも,途方もなく下手くそになってしまう可能性があるそうです。
いやはや,便利なツールに頼るのはいいのですが,それによって失われるものもあるようです。
似ている?
実は以前,とても似たタイトルの本を読んだことがあるのです。『失われてゆく、我々の内なる細菌』という本なのですが,似ていますよね。
こちらを先に読んでいたので,書名を見たときになんだか混乱してしまいました。
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日々是好日・心理学ノート
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