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完全主義者のアルコール問題

以前,「完璧主義」と言うか「完全主義」と言うかという問題について,記事を書いたことがあります。

web検索を行うと,「完全主義」よりも「完璧主義」が多いのですが,論文データベースで検索すると「完璧主義」よりも圧倒的に「完全主義」が多いという結果になります。

「完璧」は「欠点や不足がないこと」を表す,素晴らしいというニュアンスを含む表現です。その一方でperfectionismは,よくない結果をもたらす個人の思考や行動やパーソナリティを表す言葉ですので,欠点のない「完璧」よりも「完全」ということばを使った方がよいのでは?という内容です。

完全主義の問題

完全主義は,高い目標をもつことと,達成基準の高さを特徴とします。これは,「これをしなければならない」という高い目標を掲げて,少しでもその目標に届かなければ「すべてが失敗」と考えてしまうこといつながります。

このような特徴があるために,日常生活の中で簡単に「失敗」を経験してしまいます。すると,自己嫌悪感を抱いたり,バーンアウト(燃え尽き)のような状態に陥ったり,無力感を抱いたり,落ち込んだり,そこから逃れるためにさまざまな対処行動を行おうとしてしまう,というわけです。


完全主義とアルコール

そういった対処行動にはさまざまなものがあるのですが,アルコールに逃れるというのもひとつの対処行動です。そして,完全主義的な人は日常的に多くの「失敗」「自己嫌悪」を抱きますので,どんどんアルコールにハマっていってしまうことにもつながりそうです。

でも,完全主義的な人なのですから,無茶な飲酒をしないのでは?という予想も成り立ちますよね。「そんなことをしてはいけない」という意識も強そうです。では,実際はどうなのでしょうか。

そこで,両者の関連を検討した研究を見てみたいと思います。この論文です(Perfectionism, negative motives for drinking, and alcohol-related problems: A 21-day diary study)。

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