完全主義者はCOVID-19を恐れる
たいていどのような心理特性についても同じことが言えるのですが,完全であろうとする傾向を表す完全主義についても,ときには役立ちますし,ときには問題を生じさせます。物事に取り組み始めれば,完全であろうとする傾向は,その成果のレベルをより高いものに保とうとします。結果として,完成度の高い成果へと結びつくこともあるというわけです。
その一方で,完全主義的であることは非常に高い目標を立てて,その目標が少しでも達成されないと過度に落ち込む,という傾向も持ち合わせています。高い目標はいつも達成されるわけではありませんし何らかの失敗を伴う可能性が大きくなります。ということは,うまく行かなかったと落ち込む場面も多くなることが予想されます。
パンデミックの中の完全主義
完全主義的な人は,新型コロナウイルス感染症のパンデミックのなかでどのような状態に置かれているのでしょうか。
おそらく,基準や目標を高く設けることから,ウィルスや感染を最大限に回避することを考えるようになるのではないでしょうか。そして,できるだけ危険を避けて行動することを選択すると思われます。加えて,少しでも危険が身に迫ってくると不安を抱くことでしょう。
一方で,ウィルスは目に見えませんので,いつ自分や家族が危険にさらされたのかがわかりません。ということは,やはり完全主義的な人は,COVID-19のパンデミックのなかで強い心理的な不安や苦痛を抱いているのではないかと予想されるというわけです。
そんな観点から完全主義について検討したポルトガルの研究者たちの研究があります。こちらの論文を見てみましょう(COVID-19 psychological impact: The role of perfectionism)。
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