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完全主義のネットワーク
「完全でなければいけない」という思いにとらわれてしまうと,かえって物事がうまく行かなくなってしまうことがあります。完全であろうと高い目標を設定して,少しでもその目標が達成できないと「失敗した」と思ってしまい,次に何かをしようとしても「失敗するのではないか」という思いにとらわれてしまう……こういった全般的な特徴のことを,完全主義と言います。
最近の研究でも,完全主義は,心理的な緊張,ストレス,疲労,ワーカホリックなどと関連することが示されていて,職場でも完全主義的な傾向が問題視されることがあります。
完璧主義?
ちなみに,これまでにも完全主義については取り上げたことがあって,何度もこの話題には触れているのですが,ネットで検索すると「完璧主義」という言葉が宅さん出てきます。しかし,心理学の論文として多いのは「完全主義」です。どちらも「perfecrtionism」の訳語なのですけどね。どうして「完全主義」という言葉が研究の中では使われるのかを考えてみた記事がこちらです。こちらもどうぞ。
完全主義のネットワーク
海外では最近,完全主義を3つの側面から測定するBig Three Perfectionism Scale (BTPS)という尺度が開発されています。例えばトルコ版の尺度が開発された論文がこちらです。
◎自己批判的完全主義:間違ったらどうしようと思う,行動できるのかを疑う,完全さを社会から求められていると認識する
◎厳格な完全主義:自分のパフォーマンスは完全でなければいけない,誤ってはいけない,完全さに基づいて自分を評価する傾向
◎自己愛的完全主義:他者に対して完全さを求める,他者の不完全さに対する厳しい評価,自分は他者よりも多くを受け取る権利がある,完璧であるという誇大な自己感覚
これらは,これまでに行われてきた完全主義の研究全体を包括して,完全主義の全体を要約したような3側面と,さらにその下位にファセットをもつような構造を示しています。
今回は,ネットワーク分析を用いて完全主義の「中心的な場所」がどこかを検討しようとした研究を見ていきましょう。こちらの論文です(Perfectionism: A network analysis of relationships between the Big Three Perfectionism dimensions and the Big Five Personality traits)。
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