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高齢期の性格と認知機能

割引あり

「認知症を予防するにはこれ」というウェブサイトは,とてもたくさんヒットしてきます。YouTube動画もたくさんアップされていますし,本も多いですね。


高齢期の問題

認知症は,今でも高齢期のひとつのとても大きな問題です。そもそも高齢になると認知機能は低下するものなのですが,個人差が大きいものでもあります。また生活習慣や日常生活の行動は,認知機能の維持や改善に大きくかかわってくるものです。しかし,認知症になるときはなってしまいますし,ならない人はなかなかならない,という現実もあります。自分の力でどうしようもない部分もであるのです。

性格との関連

中高年の研究でも,パーソナリティ(性格)特性は,認知機能とも関連することが知られています。たとえば,ビッグ・ファイブ・パーソナリティの神経症傾向は,認知機能力検査の成績低下にかかわることが知られています。

一方で,積極的で活動的な傾向を表す外向性は,認知機能の領域によって異なりそうです。例えば外向的な人は,速度を重視した課題では優れているのですが,慎重な処理や推論を必要とする課題ではあまり良い成績につながるわけではなさそうです。

好奇心や多様性への志向性に関連する開放性は,複雑な処理を必要とする認知課題や言語処理の課題で良い成績をおさめることにつながるようです。

勤勉性や協調性については,認知能力検査との関連はあまり明確ではないようです。

高齢者の研究

高齢になると,自分自身の認知能力の満足度も問題になりそうです。普段の生活の中で,認知的な失敗(物忘れ,置いた場所を忘れる,名前を忘れる,勘違いする)も多く経験します。ビッグ・ファイブ・パーソナリティとの関連では,神経症傾向が高く勤勉性が低い人は,記憶に関する不満を多く訴える傾向もあるようです。

ビッグ・ファイブ・パーソナリティと記憶パフォーマンス,主観的記憶,全体的な認知という3つの観点からの認知能力との関連について,高齢者を対象に検討した研究があります。実際にどのような関連が見出されているのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Personality and Cognitive Decline in Older Adults: Data From a Longitudinal Sample and Meta-Analysis)。

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