就職面接でナルシストを見つける質問は作ることができるのか
ナルシシズム(自己愛)は多面的なパーソナリティ特性です。ナルシスティックな人物がチームに入ると,上手くいく面も,うまくいかない結果になることもあるようです。
自己報告
ナルシシズムが高い人は,自分自身の評価が非常に高くなる傾向があります。この傾向は,自己報告式のパーソナリティ測定にとっては問題です(いや,この歪み自体がナルシシズムの特徴なのであれば,歪みそのものを測定してしまってもいいと思うのですけれども)。
しかし,就職の場面となると話はまた別です。就活のような場面でパーソナリティ検査をすれば,多くの人は自分を「望ましい方向」に回答しようとします。学生の皆さんの話を聞くと,就活でオンラインのあれこれをするときには,各企業の社風に合わせるように答えることが普通になっているとか。
就活の応募者が否定的に回答することは,採用のプロセスに影響してしまうかもしれません。こういった場面での測定や解釈は,慎重にする必要が出てきます。
就職場面
面接の中で,さまざまなパーソナリティの情報を見出そうとする研究がこれまでに行われているそうです。面接でビッグ・ファイブ・パーソナリティを推測するような研究もありますし,オンラインの面接で試みる研究もあるようです。
このような場面でうまく自己愛的な特徴を引き出すためには,どのような質問を設定すればよいのでしょうか。この研究ではふたつの観点が示されています。
◎文脈特異的な質問:特定の文脈における人物の一般的な傾向。仕事の場面を想定した質問項目。
◎行動指向型・状況対応型の質問:過去の行動(例えば「~した時のことを話してください」)や仮想の行動(例えば「次の状況に置かれた場合,あなたならどうしますか?」)に関する回答を引き出す質問
実際に,このような質問を設定して就職場面の面接で自己愛傾向を測定し,その内容の妥当性を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Detecting Narcissistic Grandiosity in a Job Interview: The Validation of the Narcissism Interview Scale for Employment)。ここで開発された面接項目は,NISE(Narcissism Interview Scale for Employment)と呼ばれています。
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