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人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?

今回も,脳神経科学や心理学に関連する小ネタが満載の本を紹介したいと思います。『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?』というタイトルの本です。

著者はイェール・ニューヘイヴン・ホスピタルに勤務する神経科医, Eliezer Sternbergです。

そっくりのタイトル

実は,この本にそっくりのタイトルの本を以前に読んだことがあります。『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』という本です。似ていますよね?こちらの本は,実際にアブダクション(宇宙人による誘拐)を主張する人たちが「どうしてそれを主張してしまうのか」という点に注目した内容で,心理学とくに記憶のメカニズムとの関連から明らかにしようと試みているものです。

多くのアメリカ人がいかに「エイリアンに誘拐された」と思っているかがよくわかる本ですので,こちらもおすすめです。

目次

『人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?』のほうは,実は絵3位リアンの話だけが出てくるわけではありません。内容は多岐にわたっていて,面白そうなテーマから心理学やその周辺の知識が紹介されていくというかたちをとっています。本のタイトルになっているのは,目次のひとつです。

第1章 ルーク・スカイウォーカーは側頭葉に住んでいる―知覚、夢、外界の創造
第2章 ゾンビは車で通勤できるのか?―習慣、自制、人間の無意識的行為の可能性
第3章 タイガー・ウッズは頭の中でボールを打っている―運動制御、学習、メンタル・シミュレーションの力
第4章 起きていないことを思いだすことができるのか?―記憶、感情、自己中心的な脳
第5章 人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?―超常的な体験、物語、奇妙な信念の発達の検証
第6章 統合失調症患者にはなぜ声が聞こえるのか?―言語、幻覚、自己と非自己の識別
第7章 催眠術で人を殺させることはできるのか?―注意、影響、潜在意識への暗示の力
第8章 “もうひとりの自分”の眼鏡を共用できないのはなぜか?―人格、トラウマ、自我の防衛機制について

どの章も面白そうな疑問からスタートして,さまざまな知識に触れながら学んでいくことができます。

宇宙人を感じる

本のタイトルとなっている章がやっぱり気になりますよね。これは『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』でも紹介されていることなのですが,日本語で言う「金縛り」に伴う現象のようです。

 睡眠麻痺の症状は,奇妙なほど宇宙人による誘拐の描写と似通っている。どちらも体を押さえつけられ,侵入者がいるように感じる。神経科学者はこの「感じられる存在」という不可思議な現象について研究し,脳画像技術の助けを借りてその源を突き止めた。犯人は側頭葉だ。宇宙人は自分の内なる宇宙からやって来る訪問者なのだ。

自分の身体にも発生する可能性がある不思議な現象について,知っておきたいですね。ぜひどうぞ。

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