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親が評価する性格は小学校の成績に関連するか

パーソナリティ特性の研究の中では,勤勉性(誠実性,Conscientiousness)の次元が,学校の学力,GPA,学業成績などを予測することが示されています。この予測は,小学校段階でも成立することも報告されてきています。


パーソナリティの自己評価問題

しかし,小学生くらいの子どもたちを研究する場合には,ひとつの問題があります。それは,自分で自分のことをどれくらいわかっているのか,という問題です。自己評価がどれくらい正しいと言えるのかという問題ですね。

パーソナリティを測定する尺度は,自分自身のことを尋ねるものです。特に小学校低学年では,十分に自分自身のことを評価できるとは考えられません。もしも自己評価が不明瞭なのであれば,自分自身で自分のパーソナリティを評価することは困難である可能性も高まります。

実際に,12歳以前の子どもたちの自己評価されたパーソナリティ項目は,因子構造が不明瞭になりがちだという研究報告もあるようです。その一方で,小学生の段階でも,パーソナリティ特性が成績に関連するという研究結果もあるわけで,いったい実際にはどうなっているのかを,なんとか検証する必要性もありそうです。


他者評価

そこで,他者評価によって測定されたパーソナリティ特性に注目して,小学生たちのパーソナリティ特性と学業成績との関連を検討してみることが重要です。このような関連をメタ分析で検討した研究を見てみたいと思います。こちらの論文です(A meta-analysis of adult-rated child personality and academic performance in primary education)。

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