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MBTIとBig Five:性格テストどうしの関連

MBTIという心理検査があります。これは,ユング理論に基づいた4つの指標をモデル化した得点を算出し,そこからタイプを導く検査です。

MBTIは人々を16のタイプに導いていくことから,わかりやすく根強い人気のある検査です。しかし,類型論の長所が「わかりやすさ」にある一方で,類型論の短所には「おおざっぱさ」「無理やりカテゴリに分類すること」「典型的な人がまったく存在しなくても『そのタイプ』と極端に評価されてしまうこと」など,数多くのことが存在します。

MBTIの指標

MBTIはまず,外向型・内向型(EI)という類型を行います。外向型は,人や物の外側の世界にかかわるとされ,内向型は概念やアイデアなど内側の世界に興味を抱くとされます。この点で,現在心理学で研究されている「外向性(内向性)」とは,同じ言葉を使っていても意味がズレているということがわかります。

次に,MBTIでは感覚と直感をペアにして類型化します(SN)。感覚型は実在するものやすでに知っている事実に意識を向け,直感型は無意識に可能性を探そうとすることを指します。次に,理論と感情という類型です(TF)。前者は論理を重んじるタイプで,後者は個人的な価値観や判断に基づく感情を重んじるタイプを指します。そして最後は知覚と判断というMBTI独自の(ユング理論にはない)類型で(PJ),知覚は柔軟で自発的な生き方を好み,判断タイプは計画的で秩序を好むタイプだとされます。

これらを組み合わせて,4つのアルファベット(EI,SN,TF,PJのいずれかの組み合わせ)でタイプを記述し,全体で16のタイプに分類するというわけです。

MBTIの因子分析

そもそもMBTIの質問項目がいくつの因子で構成されるかという研究も行われています。その結果によると,4因子よりも5因子が適切だという結果も得られているようで,外向性の次元は比較的明確ではあるものの,あまり純粋にある次元を測定することが難しそうな内容も含まれているそうです。

MBTIとビッグ・ファイブ・パーソナリティ

MBTIは,ビッグ・ファイブ・パーソナリティとどのような関連を示すのでしょうか。同じ「外向性」という内容が両者に含まれているのですから,なんらかの形である程度高い相関関係にあることが予想されます。

これまでの研究では,外向・内向(EI)が外向性,感覚・直感(SN)が開放性,理論・感情(TF)が協調性,知覚・判断(PJ)が勤勉性に対応するという関連も報告されています。神経症傾向に対応する部分はないようですね。

他にも複数の報告があるようですが,いずれも数百人を対象としたものです。一方で,1万人近くの成人を対象としたサンプルを分析した研究もあります。果たしてどのような関連を示すのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(The Big Five Facets and the MBTI: The Relationship between the 30 NEO-PI(R) Facets and the Four Myers-Briggs Type Indicator (MBTI) Scores)。

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