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少子化と大学

2019年の日本は,とうとう1年間に生まれる子どもの人数が90万人を割り込む見込みになったそうです。

100万人を割り込んだのがほんの数年前の話でしたので,あっという間に90万人を下回ってしまったというのはちょっと衝撃的です。「とうとうこんな時代が来てしまったのか」という印象を受けるニュースでした。

大学業界

子どもがどれだけ生まれるかというのは,私が働く大学業界にとっても深刻な問題です。

大学の定員は経営上の問題もあってそんなに簡単に増減させられるわけではありませんし,日本ではおおよそ高校を卒業して一斉に大学に入学しますので,18歳人口が大学の経営に大きく関与してくるからです。

「大学は全入ということではなかったの?」という意見も聞こえてきそうですが,大学全体で「18歳になった全員を入学させられる」わけではありません。18歳人口全員が入学できるだけの枠はないのです。

大学の定員

本当にだいたいの値ですが,国立大学の定員はおよそ10万人,公立大学が3万人,私立大学は48万人の定員があります。

その他いくつか大学校などはありますが,ここまでで合計すると約61万人です。だいたい60万人と考えておくと良いと思います。

そして,2018年の18歳人口は約118万人です。大学の定員は約60万人ですので,だいたい2人に1人が大学に通う(定員割れしていなければ)ことになります。「大学全入」は,18歳の全員が大学に通えるわけではなく,「大学進学を希望する人が選ばなければどこかに入学することはできる」ということを意味しています。

総数

私立大学の資料を見ていて面白いところは,受験者総数が書かれている点です。その数値は,約400万人になっています。

「18歳人口が118万人しかいないのに400万人?」と思いますよね。

ということは,それだけ私立大学の学部学科(受験は学部学科ごとのことが多いので)をいくつも受ける受験生が多いということです。実際には,118万人がみな大学を受けるようなことはなくて,大学の定員とほど同じ多くて60-70万人くらいでしょうから(模擬試験やセンター試験の受験者数を考えても),平均すると一人で5-6校を受験するというわけです。

さらに,私立大学の定員のおよそ半分は指定校推薦や附属・系列校からの推薦,AO入試や一般推薦試験で入学します。ということは,一般入試を受ける受験生たちはもっと多くの大学を受験していると考えられます。

定員割れ

「定員割れの大学が話題になっているのではないですか?」と思いますよね。

たしかに,多くの私立大学は,定員割れをしていると言われています。実際に大学全体で定員割れを起こしている私学は30-40%程度のようです。

受験生の人数と定員数を考えると,全員が選ばなければどこかの大学に入ることができるとはいえ,そうもいかないという現状があります。

もしも18歳人口が多ければ,「どこかに入れるだけマシ」という状況になります。それが,第二次ベビーブーム世代が受験生だった時の状況ですね。もうそのような状況が再び訪れることはまずなさそうです。

18年後

今の出生数は,18年後の大学に影響を与えます。そしてその時,私はまだ大学業界に残っているはずです。

果たしてどんな状況になっているでしょうか?

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