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emojiの認識は年齢や文化で変わる

割引あり

心理学でも絵文字(emoji)を対象にした研究はあれこれ行われています。

コンピュータやスマホ上でのコミュニケーションで用いられるものですし,「感情」を表現するという意味でも,心理学の研究対象としては面白い部分なのではないでしょうか。ちなみに「emoji」はもうすでに世界中で用いられる単語で,これが日本語だということも知られないまま,使われていたりします。


顔文字と絵文字

顔文字は「文字」で構成されます。まだ絵文字が開発される前から使われているのが「顔文字」です。いろいろと工夫されていくのですが,海外の1バイト文字の顔文字と,日本語のような2バイト文字の顔文字では,ずいぶんニュアンスが違うはずです。たとえば「:P」という顔文字は昔からよく使われるのですが,横から見ないと顔になりません(舌を出している顔)。

絵文字は1990年代後半に,日本人が開発しました。絵文字はカラフルな絵で構成されており,顔文字よりも微妙な感情を表現できますので,意味も多様です。2015年段階で92%の人々がオンラインコミュニケーションで絵文字を使用しています。絵文字は「世界で最も急速に成長してきたコミュニケーション形態」だと指摘する人もいるほどです。

絵文字の理由

人々が終え文字を使う理由についても調査が行われています。その結果によれば,ポジティブな対人関係を促進するという効果が大きいようです。絵文字は,リラックスした会話の雰囲気を作り出し,相互作用を促進し,メッセージの意図された感情的な意味を受信者が明確に理解できるように,あいまいさを減らすことに意義があります。

ある研究では,絵文字がないメッセージよりも絵文字ありのメッセージを読んだときの方が,笑顔が増えるという結果が報告されているようです。

絵文字の理解

絵文字の理解は,性別に影響される可能性があるそうです。平均して女性の方が男性よりも,感情認識の精度が高いことが示唆されています。女性は男性よりもネガティブな顔の認識に敏感だという指摘もあるようです。絵文字は感情を伴いますので,男女で認識に差が生じるかもしれません。

もうひとつの要素は,年齢です。若い人たちの方が高齢者よりも感情の意味を理解する精度が高いという研究結果があります。しかし,嫌悪感情のような表情の場合には,若者よりも高齢者の方が認識力が高いという報告もあるようです。全体的には,年長者よりも若者たちの方が,絵文字をよく理解できるかもしれません。

さらに,文化の違いもありそうです。感情認識には内集団優位性と呼ばれる現象があり,自分が所属する集団の感情認識の精度が高くなる傾向が見られるそうです。ある文化で育ってくることで,その特定の文化内での感情の認識に敏感になる可能性があります。絵文字によく触れる文化とあまり触れない文化もありますので,そのような違いも絵文字の認識精度に影響しそうです。

というわけで,これらの影響について検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Individual differences in emoji comprehension: Gender, age, and culture)。

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