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引用文献トップ100

数年前のものですが,「世界で最も引用された論文トップ100」という記事があります。どういった論文の引用が多いのでしょうか。

この記事によると,引用回数トップの論文はこれです。ただし,記事が4年ほど前のものですので,いまもこの論文がトップなのかどうかはわかりません。


山の頂の小石

この記事にもありますが,よく引用されるトップ100の論文というのは,高い山にたとえれば,頂上のほんの1センチにも満たないところにある論文のようなものだということです。山の頂上に乗っている小石のような存在です。

上澄みの上澄み,われわれ凡人には手の届かないような話です。

狙って書けるのか

いくら研究者たちが論文が引用されることを目指していたとしても,何十万回も引用される論文というのは,研究者自身もそれを狙って書くようなものではないと思います。

もちろん,時にはあると思います。競争が激しくて,先陣争いをしているような研究分野の場合には特にそうですね。しかし,そういう研究分野ばかりというわけでもありません。

もとのNatureの記事はこちらです。

研究分野

以前も心理学関係で引用に関連する記事を書いたことがありますが,そもそもどれくらい論文が引用されるかについても,研究分野に依存します。

全体的にたくさん論文が算出される分野であれば引用も増えますし,ものすごくたくさん引用される論文が出てくる可能性も高まります。そして,論文を書く労力も研究分野に依存します。研究分野で大きく文化が異なるという点は,お互いに理解したいところです。すべての研究者が同じルールでゲームをプレイしているわけではありません。

自分で選べるのか

また,「どの分野の研究をするか」ということを考えてみれば,大学に入った段階で最初からそれを目指す,なんていうことはほとんどありません。

授業を受けながら「あっちが面白そう」「こっちの研究室がいいかな」「あっちは競争率が高そうだからこっちにしておこうか」なんていう程度の選び方も多いものです。そういう意味でも,そのまま勉強をつづけ,研究が面白くなり,大学院へ進学して研究を続けるというのは,それはもう,偶然の巡り合わせとしかいいようがないものだと思います。

「この学問よりもこっちの学問の方が」とか,「こっちの研究分野よりもこっちの研究分野のほうが」とか,「自分の研究分野のルールがすべてだ」とか,そういう意見を見たときに,このような学問の選び方を考えるとなかなか興味深い,と思えてくることがあります。自分で選ぶというよりは,運と巡り合わせのようなものなのになあ,と。時々「やめておけばいいのに」と思ったりもします。

しかし残念ながら,それもまた人間の営みであるのかもしれません。そんなことをふと思いました。

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