「嫌なことを考えたくない」が基本
注意喚起をすると「そんな嫌なことを言わないでくださいよ」という反応が生じることは,よくあります。避難訓練なんかもそうですし,自動車の運転免許の書きかえなんかも典型的ですよね。
『人が死なない防災』(片田敏孝著)を読んでいたときに,こんな一節が出てきました。
日本の防災教育の間違い
この本の中には,日本の防災教育で陥りがちな間違いとして2点が挙げられていました。
ひとつは,脅しの防災教育です。とにかく「怖いぞ」「怖いぞ」と連呼して恐怖を喚起させようとする教育のパターンです。小学校でも普通に行われていて,最近だと「ネットは怖い」という講習会が行われることもよくあります。最初に書いた自動車運転免許の書きかえ時の講習も同じパターンです。
そして,脅かしたとしてもたいして効果はないものです。教育をする側は「効果があるだろう」と錯覚しているのですが,実際にはすぐに忘れてしまいます。「嫌なことはするに忘れる」のが私たちの特徴だからです。
知識だけもダメ
そしてもうひとつの間違いは,「知識の防災教育」なのだそうです。できるだけちゃんとした知識を与えて,合理的な行動を導こうとするのも,教育では行われがちです。一見正しそうなのですが,防災に関してはこの方法ではうまくいかないと本の中に書かれています。
内発的な自助
防災で必要なのは,主体的に自らが動くことです。本の中では「内発的な自助」という言葉で表現されていました。
また地域の中では,誰かが大きな声を出しながら率先して「逃げるぞ!」と大騒ぎすることも大切だそうです。このような人を「率先避難者」と言うそうです。
私たちは逃げようとしてもつい正常性バイアスのせいで「たいしたことはないだろう」「大丈夫だろう」と考えてしまうものです。そんなときに「今が逃げるときだ」とシグナルを送ってくれる人の存在は,多くの人々を助けることにつながるのでしょう。
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