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内向的な人ほどコロナ禍で社会的距離をとる

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,すっかり日常のなかに溶け込んでしまったと言えるでしょうか。毎日の感染者数が報道されても,「まあそういうものか」といった受け止め方が増えているようにも感じます。パンデミック初期の頃はどうなるんだろうと思っていたのですが,時間が過ぎれば日常になっていくのは歴史を考えてもそうでしょうし,とはいえなかなか予想できないこともであります。

パンデミックの研究

パンデミックのごく初期,早くも2019年12月に中国で心理学や疫学の観点からの研究が行われていて,人びとがCOVID-19の流行に対してどのように考え,行動しているかが調査されています。

パンデミック以降の研究の様子を見るにつけ,研究者というのは(もちろん研究分野にもよるのでしょうけれども)世の中の動きを敏感に察知して,研究を行っていく面も強いのだと感じさせられます。そして,その動きが一種のトレンドになって,ますます多くの研究を生み出していく様子も見ることができました。研究の動きを観察するという意味でも,パンデミックを経験したことは貴重な機会だったように思います。

封じ込め行動

さて,今回の研究もパンデミックの初期に調査が行われたものです。社会的距離と手洗い行動について,ビッグ・ファイブ・パーソナリティとの関連がどのようになっているかを検討したものです。単純な発想はありますが,やはり研究は「タイミングが大事」ということがわかる論文だと言えるでしょうか。

この調査はブラジルで,2020年3月に行われたものです。まだこれからブラジルでは一気に感染者が増えていくという時期の調査でした。では,この論文を見てみましょう(Personality differences and COVID-19: are extroversion and conscientiousness personality traits associated with engagement with containment measures?)。

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