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ダークな性格の脆弱な側面

割引あり

カナダの心理学者ポールハスが共同研究者のウィリアムスとともに,マキャベリアニズム,ナルシシズム,サイコパシーに共通する要素があり,これらをダーク・トライアドと名づけた論文を公表したのは2002年のことです。それからすでに,20年以上が経過しています。


共通要素

ダーク・トライアドのそれぞれのパーソナリティ特性は,それぞれ起源が異なり,独自の研究の系譜をもっています。しかし,そこには感情的な冷淡さ,他者を操作する傾向,自分をよく見せようとする自己顕示欲,他者を攻撃する傾向など,多くの共通点を持ちます。

脆弱なダーク・トライアド

一方で,研究者の中には,自分自身にたいしてネガティブで,他者の反応を過剰に気にするような,脆弱な側面のダーク・トライアドがあるのではないかと主張する人が出てきています。候補としては,いくつかのものがあります。

◎境界性パーソナリティ:対人関係や感情の不安定さ,アイデンティティの問題,激しい怒り,衝動性,自殺を含む自傷行為など
◎脆弱ナルシシズム:自己イメージの不安定さ,羞恥心や怒りなどの感情,対人的な過敏性など
◎2次的サイコパシー:反社会的なライフスタイル,衝動を制御しない,計画性に欠けるなど

構造の問題

これらが脆弱なダーク・トライアドではないかという主張はなされたものの,この変数間の構造をしっかりと検討したわけではなさそうです。因子分析の手法を応用しつつ,ダーク・トライアドの内容を広く測定して,そのなかに脆弱な側面がどのように含まれているのかを明らかにすることは重要な検討課題です。

では,こちらの論文を見てみましょう(Revisiting the vulnerable dark triad hypothesis using a bifactor model)。

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