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貧困は恥を通じて権威主義につながる

権威主義(authoritarianism)というのは,権威や強さ,支配力をたてにとって物事を進めようとしたり,権力に盲目的に従ったりする態度を意味しています。

このところ,世界中で権威主義的な指導者や政治体制を支持する傾向が高まっているとも言われています。今回紹介する論文にも,次のように書かれています。「なぜ人々は,民主主義や自由を脅かし,最悪の場合,罪のない人々の命を奪うような権威主義的な指導者や体制に対して自発的に服従するのだろうか」。

貧困

これまでに多くの研究が,貧しさが権威主義的な体制への支持につながることを示しているそうです。しかし,どうして貧困が権威主義をし維持する傾向につながるのか,メカニズムはあまり明確にはなっていないそうです。

権威主義は,権威に服従することと,集団の結束や集団への順応を好む傾向として捉えられています。権威主義的な反応というのは,指導者や体制に服従すること,そこから逸脱する人に対する敵対心や攻撃,などを伴います。集団への帰属意識を高めますので,権威主義を支持するということは,一種の心理的な安全保障を生みだすシステムであるとも考えられるのです。

もしかしたら,貧困がストレスや不安や恥の感覚を介して,権威主義へとつながる可能性があります。貧しいことで生活に不安を抱くこと,ストレスが強くなること,あるいは周囲の人よりも劣った感覚を抱くことなど,そういった個人的な感覚を喚起することで,権威主義に結び付くという可能性です。

では,こちらの論文で,研究結果を確認してみましょう(It’s (a) Shame: Why Poverty Leads to Support for Authoritarianism)。

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