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世界一孤独な日本のオジサン

心理学のなかで孤独感は,青年心理学の研究テーマとしてよく研究されてきた歴史がある印象もあるのですが,高齢期においても重要な概念です。

日本の社会も変化してきて,人口のボリュームゾーンが変わってきたということも背景にあるのでしょう。仕事をリタイアして孤独感を抱いて,あるいは本当に社会の中で孤立して死を迎えるという人もこれからますます増えていきそうです。

自分も

なんて人ごとのように書いていますが,私自身もいい歳ですので,高齢期になったときの孤独のリスクは十分にあるわけです。今住んでいる自宅は自分が生まれた地元というわけでもありませんし,同じ学校の出身者が近くに住んでいるわけでもありません。幼なじみが近くにいるわけでも,仕事の同僚が近くに住んでいるわけでもありません(探せばどこかにいるのかもしれませんが職場からは遠いので)。それなりに毎日仕事も忙しいですし,仕事柄,地域に密着した仕事をしているわけでもありません。

こんな状況だと,きっと仕事をやめればほかの人との交流が少なくなっていくのかもしれないな……と想像してしまいますね。

プライド

さて,こんなことを思ったのも,この本『世界一孤独な日本のオジサン』(岡本 純子著,KADOKAWA 2018年)を読んだからです。

仕事をやめて,職場から離れて地元で何かのサークルに顔を出そうとしても,なかなかうまくいかない……特にそんな男性は多いのかもしれません。邪魔をしているのは「プライド」です。

 日本のように年を経ると自動的に昇進しやすいシステムでは,人は気づかぬうちに段々とそのプライドや驕りを蓄積しやすいのかもしれない。部下や身の回りの人たちに「俺は偉いのだから,これぐらいしてくれて当たり前」という「甘え」のようなものが生まれている可能性はある。

p.78

仕事の先輩に「定年を迎えたら,プライドと驕り,そして肩書きを徹底的に捨てなさい」と言われた男性の例が本の中に出てきます。

「男性だから」「女性だから」ということがあるのか,ないのかよくわからないのですが,少なくとも自分の人生については将来を考えておきたいな,と思った一冊でした。自分の人生の最後をどう迎えるのかを,イメージしておきたいものです。

皆さんもどうぞ。

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