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さまざまな文化に依存する創造性

創造性というのは,それまでにない何か新しいものを作り出すという活動のことを指す言葉です。研究の中では,他の人が思いつかないようなアイデアをどれくらい思いつくか,といった観点から創造性(拡散的思考とも言います)の測定が行われます。

しかし,現実の創造性は「思いつく」だけではダメなのですよね。実際に何かの役に立ったり,これまでの生活を変えたり,大きく方向性を変えるような新しいアイデアや仕組みを考えると「創造的だ」と評価されるのではないでしょうか。


文化の問題

ということは,創造性というのは「その社会にどのように受け入れられるか」がとても大きな問題となるわけです。ある国で創造的だとされた仕組みが,ほかの国では受け入れられないということがあるかもしれません。ある国では全く注目されないようなアイデアが,別の国に行くと社会全体を変えるようなイノベーションをもたらすかもしれないのです。

文脈や文化の中で創造という行為を捉えることが,創造性を考える上では意外と重要だと言えそうです。


文化を越えた創造性

文化を越えた創造性というのがあるのでしょうか。たとえば創造性を測定する創造性検査は,世界中で翻訳されて用いられています。ということは,ある枠組みの行動が多くの国や地域で「創造性」として受け入れられていることを意味します。

11ヵ国の子どもたちを対象にして,創造性の検査を行った研究があるようです。それによると,その国の民主的な価値観,独裁的な価値観,社会経済的な常用によって,得点のレベルは異なってくることが示されています。また,バイリンガルの程度によっても,創造性のレベルは変わってくるそうです。バイリンガルの子どもたちは,ものリンガルの子どもたちに比べると,創造性の得点が部分的に低くなるそうです。

創造性とは

国によって,創造性とは何かという考え方が変わる可能性もあります。

中国では,創造性というのは生涯を通じて獲得される完全性と卓越性に関連する概念として捉えられるそうです。一方でアメリカ合衆国では,即座のインスピレーションや応用,新しさを求めることを創造性だと言う傾向があります。

さて今回は,創造性と文化の問題について,こちらの論文を参考にしながら考えてみたいと思います(Regional creativity: Cultural and socio-economic differences)。

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