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右翼的権威主義と社会的支配志向性に共通する遺伝要因

近年,社会や政治に対する態度の測定で注目を集めている心理特性が,右翼的権威主義(RWA)と社会的支配志向性(SDO)です。

右翼的権威主義は,権威に対して服従する傾向と,規範やルールから外れる人に対する強い攻撃的傾向,そして伝統的な価値観を重視する傾向という要素で成り立つ考え方のことです。

一方で,集団における平等や階層的な関係性についての個人の志向性を,社会的支配志向性といいます。社会的支配志向性が高い人は,不平等な集団間関係の維持を望んで,階層が拡大する方向に向かう政策や考え方を支持する傾向があります。勝ち組・負け組を明確にするような考え方を正しいと考えるということですね。

ちなみに,右翼的権威主義については遺伝率が比較的高く,社会的支配志向性の遺伝率はそれに比べると高くないという研究結果もあるようです。


共通するのか別なのか

右翼的権威主義と社会的支配志向性は,相互にプラスの関連があります。両者はともに,権威主義的攻撃性の高さやビッグファイブ・パーソナリティの開放性の低さといった共通要素があると考えられています。

しかし,両者には違いもあります。たとえば……

◎右翼的権威主義:脅威に敏感な社会的文脈
◎社会的支配志向性:競争に基づく社会的文脈

共通する背景

右翼的権威主義と社会的支配志向性との間には,共通する遺伝要因や環境要因は存在するのでしょうか。この問題を解決するひとつの方法は,ふたごのデータに注目することです。この2つの心理特性は共通する要素をもつのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Two sides of the same coin? On the common etiology of Right-Wing Authoritarianism and Social Dominance Orientation)。

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