指の長さと利き手には関係があるのか
利き手というのは,ある動作において,片方の手よりももう片方の手の方を使うことを好む傾向のことを指します。
利き手
利き手の傾向の強さは,動作によって異なります。字を書いたり絵を描いたりするような行為では,右手をよく使う人,左手をよく使う人の傾向はそれぞれ比較的一貫しています。
しかし,ボールを投げたり打ったり,カードを配ったりするような行為の場合には,右手と左手のどちらを使いたがるかは一貫性があまり高くありません。つまり,文字や絵は右手を使っても,ボールは左で投げたりするようなケースが結構みられるということです。
子どもを育ててしばらくすると,「この子は右利きかな,左利きかな」と感じるときがあります。それは結構幼いときです。人生の早い時期に利き手は定まり,その後生涯にわたって影響していきます。
測定方法
利き手の測定には,質問紙が用いられることが多くあります。日本語版の利き手テストも論文に掲載されていますので,こちらを参考にしてはどうでしょうか。
また,指を叩いたり,道具を動かしたりするときの右手と左手の熟練度を作業で測定する方法もあります。質問紙で測定する場合にはJ字型の分布(左利きより右利きが多く,両手利きは少ない),作業で熟練度を測定するとほぼい正規分布に近くなるそうです。
出生前の性ホルモン
さて,手と言えば,人差し指(2D) と薬指(4D)の相対的な長さの比である2D/4Dの研究も知られています。これら2本の指は,生まれる前に母親のお腹の中にいるときの性ホルモンの影響を受けると考えられています。男性ホルモンの影響を受けると人差し指が相対的に短くなり,女性ホルモンの影響を受けると薬指が相対的に短くなります。
左右差にも?
Geschwind-Behan-Galaburda理論というものがあるそうです。これによると,妊娠中の重要な時期に,子宮内の脳を取り囲む男性ホルモンであるテストステロンの濃度が高くなると,右大脳半球に比べて左大脳半球の神経解剖学的・機能的発達が相対的に低下し,それに伴って左利きの確率が高くなる(右大脳半球に関連しますので)とされるそうです。
ということは,利き手と指の長さが関連してくる……のでしょうか。そこで,メタ分析を用いて利き手と2D/4Dとの関連を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Digit ratio (2D:4D) and handedness: A meta-analysis of the available literature)。
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