何度も繰り返し思い浮かべることの良い面と悪い面

今回も,最初にいくつかの質問に答えてみてください。回答は,「まったくない(1点)」「あまりない(2点)」「少しある(3点)」「いつもある(4点)」です。得点をつけてみましょう。

1.「私はすごい」と考えること
2.「幸せな日は続かない」と考えること
3.「悪いことは重なるものだ」と考えること
4. 「失敗から学ぶことがあるものだ」と考えること

4つの「考えること」が並んでいます。どのようなパターンのことを,よく考えるでしょうか。


反すう

物事を何度も何度も思い浮かべてしまってそれが繰り返されることを,「反すう」といいます。特に,よくないことが何度も浮かんでくることを「ネガティブな反すう」といったり,落ち込ませるような出来事や考えが何度も思い浮かんでしまうことを「抑うつ的反すう」といったりします。

反すうのパターン

反すうには「どのようなこと」を「どのように」思い浮かべるかというパターンがあるようです。

思い浮かべる内容がネガティブなこともありますし,ポジティブなことを思い浮かべることも,反すうに含めることが可能です。

また,ネガティブなことを思い浮かべてもポジティブなことを思い浮かべても,その思い浮かべ方によって結果がどうなるかが変わってきます。ネガティブな出来事を思い浮かべても,「今後はよくなるはず」と思えば,その反すうはそれほど悪い感情をもたらすとは考えられません。ポジティブな出来事を思い浮かべても,「次はダメかも」と思えば,その反すうはあまりよい感情をもたらすわけではないかもしれません。

というわけで,ポジティブな出来事+ポジティブな感情,ポジティブな出来事+ネガティブな感情,ネガティブな出来事+ポジティブな感情,ネガティブな出来事+ネガティブな感情という,4パターンの反すうがありそうだということになります。

冒頭の質問項目ですが,

1.「私はすごい」と考えること
2.「幸せな日は続かない」と考えること
3.「悪いことは重なるものだ」と考えること
4. 「失敗から学ぶことがあるものだ」と考えること

は,それぞれポジティブ+ポジティブ,ポジティブ+ネガティブ,ネガティブ+ネガティブ,ネガティブ+ポジティブの組み合わせになっているというわけです。

新たな枠組み

こういう枠組みを考えるというのは,心理学の研究ではよく行われます。そして,うまい枠組みを提案する研究は,その後の研究にも大きなインパクトを与えていくことにもなります。今日紹介する研究がそれに成功しているかどうかはわからないのですが,それまで誰も考えていなかったことを思いつくというのは,自分は天才なんじゃないかと思って興奮する瞬間です。

今回紹介する枠組みが成功しているかどうかは別にして,そういう感覚が得られることは研究をしているときのひとつの醍醐味かもしれません。滅多にそんなことはないのですけどね。たまにあるから面白いのかもしれませんね。

組み合わせは何をもたらすのか

というわけで,こういった組み合わせについて検討した中国の研究者の研究があります。この論文を見てみましょう(The positive and negative rumination scale: Development and preliminary validation)。

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