グリットなのかそうじゃないのか,それが問題
同じなのか違うのか,というのは概念を扱う心理学の領域では大きな問題になります。
普段の会話の中ではそんなに意識することもなく,言葉を使います。意味も厳密に決まっていませんし,深く理解する必要もありません。
なのに,何となく言葉を使うことができるというのは,本当に不思議なことではないかと思います。
今回紹介する論文は,ある概念と別の概念との間でよく似ているのではないか,もしかしたら一緒なのではないか?本当に違うの,それとも同じなの?という問題について検討しているものです。
同じなのか違うのか
以前にも,「同じなのか違うのか」問題を扱った論文を紹介したことがあります。
たとえば不安と抑うつですね。これもよく似ていますが,何が違うのかと言われるとなかなかすぐに答えられなかったりするのではないでしょうか。
グリット
というわけで,今回はGrit概念に注目します。「やり抜く力」とも言われる心理特性ですね。情熱と粘り強さの複合体のような概念です。「根性とやる気」のような。
本当によく聞くようになって,学校などでも取り上げられることが増えてきているようです。
生きるべきか死ぬべきか
"To be or not to be, that is the question."というセリフは,シェイクスピアのハムレットの有名なセリフですよね。「生きるべきか死ぬべきか,それが問題だ」と訳されることも多いです。そして,この論文ではこのセリフをもじってタイトルをつけています。
そのタイトルは,"To grit or not to grit, that is the question!"です。"to grit"となっているので,ここでのgritは動詞ということかなあと思うのですが,動詞のgritは「ギシギシ音がする」とか「小石を捲く」といった意味もあるのですよね。あるいは名詞でgritに向かうか向かわないか,といった意味でしょうか。
どういう真意があるのかはわからないのですが……。
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