インドのスラムに住む人の幸福感
生活満足度という指標があります。これは,生活全体や特定の生活領域の質に対して認知的に評価をすることで,「満足している」と感じる傾向のことを指します。
生活全体の満足度は,心身の健康や長寿,社会的関係,向社会的行動,仕事の質など,さまざまなものに関連するとされています。ウェルビーイングを考える上でも,非常に重要な指標のひとつです。
生活満足度という指標は,個人にとっても大切なのですが,政策立案者など人々をまとめる立場の人たちにとっても重要な指標です。過去数十年にわたって,多くの国でいかにして生活満足度を高めるか,という工夫がなされてきました。
経済状況
生活満足度を規定する大きな要因は,経済状況だと言われます。では,経済的に困窮していると考えられるスラム街に住むような人々は,やはり生活満足度は低いのでしょうか。
今回はインドのスラム街で調査が行われた研究を見ていきましょう。インドは人口も多く,現在も大きく発展している,成長率の高い国です。そのなかで,大きく貧富の差が生まれています。現在でも,スラム街で暮らす人々が多数存在しています。その背景には,農村部から都市部への人口流入という要因もあるようです(どこの国でも発展する段階では生じる傾向ですね)。
では,こちらの論文で,スラム街に住む人々の生活満足度の得点がどうなっているのかを確認してみましょう(Life Satisfaction among the Poorest of the Poor: A Study in Urban Slum Communities in India)。
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