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非認知能力は認知能力よりも本当に重要なのか

20世紀初頭にフランスで知能検査が開発されてから,知能検査の結果を使った研究は世界中で行われてきました。なかには多くのサンプルを対象とした長期縦断的な研究も行われており,知能検査の結果がよい人はよくない人に比べて,さまざまな面で社会的に恩恵を受けることが示されてきています。

たとえば学業成績,学歴,収入,健康,そして寿命などです。このように,実際に社会のなかで「望ましい」結果をもたらすような心理学的特性は,「役に立つ」そして「向上させるべき」特性として研究だけでなか卯社会的にも注目され,現実社会のなかで伸ばしていこうとする政策へとつながっていきます。

非認知能力

近年,認知的な能力ではない,いわばパーソナリティのような要素が人生の結果に影響を及ぼすという研究が盛んに行われています。「人生の重要な結果を予測するのは,知能や学力といった認知的な能力ではなく,避妊知的な能力の方なのではないか」という考え方から,非認知能力(非認知スキル)という言葉も注目されています。

知能よりもパーソナリティ特性の方が人生のさまざまな結果に影響を及ぼすという研究がある一方で,そうではないという研究もあるようです。なかなか明確な結論は出ていません。

方法としては,何かを予測するときに知能指数のような認知的検査の結果の方がよく力が高いのか,それともパーソナリティ特性の予測力の方が高いのか,対決させて検証すればよいのです。

では,学業成績や学歴,収入を予測するとどのような結果が得られるのでしょうか。この問題を検討したある研究を紹介したいと思います。こちらの論文を見てみましょう(The claim that personality is more important than intelligence in predicting important life outcomes has been greatly exaggerated)。

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