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いろいろな性格と認知能力の関係

割引あり

「パーソナリティ」と「認知能力(知能)」というのは,人間の特徴を記述するためのふたつの大きな枠組みです。この「ふたつの枠組み」を検証しはじめた歴史は長く,実証的な研究は20世紀初頭にさかのぼることができます。

人々がどのような環境を好むか,誰を好むか,どれくらい仕事に成功するか,勉強はどうか,収入はどうかなど,人生の重要な結果を予測する上で,知能とパーソナリティは大きな影響力を持つと考えられています。

パーソナリティと認知能力

パーソナリティ特性というのは,時間や場所を越えて比較的安定した,思考・感情・行動のパターンを指すとされる概念です。この中には,価値観や態度や行動や認知傾向など,さまざまな要素がふくまれます。たとえば,ビッグ・ファイブ・パーソナリティは,辞書のなかに含まれている人間を形容するすべての単語を整理するなかで見いだされてきたものです。ということは,そのなかに認知能力を反映する単語が含まれていてもおかしくはありません。

実際,パーソナリティ特性と認知能力との間にも関連があることが知られています。特に,ビッグ・ファイブ・パーソナリティと認知能力との間には,これまでの研究でも低いながらプラスの関連があることが知られています。

しかし,パーソナリティ特性と言っても非常に多くの概念がこれまでに研究されています。ビッグ・ファイブ・パーソナリティだけがパーソナリティ特性ではありません。これまでの心理学の歴史のなかでは,多くの概念が提唱されてきました。

とにかくパーソナリティのような安定した個人差特性と,広い認知能力との間との関連を検討した研究をすべて集めたら,どのような関連の様子が見られるでしょうか。網羅的に集めてメタ分析を行った研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Meta-analytic relations between personality and cognitive ability)。

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