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レイシズムの種類

レイシズムとは,「レイシズムは人や集団を目や髪や肌の色によって従属的な地位に置く態度,行動,制度,あるいは社会政策」を指すとされています。

今回は『日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション』という本の中に書かれていた一節を紹介しましょう。

一口にレイシズムと言っても,その中身にはさまざまなパターンがあって複雑です。

個人的レイシズム

まず,個人的レイシズムです。個人的レイシズムというのはよく見られるもので,普段の生活の中でもあからさまな形で表現されます。

個人的レイシズムとは,アメリカにおいて最も一般的に知られているもので,明白かつ意図的,あるいは故意に,人種的マイノリティに対して害を及ぼしたり,分け隔てをしたりする行為を指す。

たとえば……
◎レストランで黒人の客を後回しにすること
◎人種的な悪口を言うこと
◎自分の子どもを違う人種の相手とデートしたり結婚したりできないようにすること
◎有色人種に対して近隣の物件を紹介しない

といった行為です。

制度的レイシズム

制度的レイシズムは,さまざまな意思決定の中である集団が別の集団を不当に劣位に置き,特定の集団だけが利益を得ることを許す意思決定や行動が行われる仕組みのことを指します。

制度的レイシズムは,あらゆる政策,慣習,手続き,ビジネス,政府,裁判所,教会,地方自治体,学校などにおいて,有色人種を不当に劣位に置き,他の集団がその結果から利益を得ることを許すような意思決定や行動がなされる仕組みを指す。

たとえば……
◎人の人種を気にして見分けようとする
◎教会や人づきあいから排除しようとする
◎雇用や昇進で差別すること
◎教育の中でマイノリティの歴史を無視し歪曲する

制度の中に組み込まれている場合があるので,「決まり」とされることもあるのですが,特定の集団を不利に扱い,別の集団を有利にする方向に働きます。

文化的レイシズム

文化的レイシズムは,もっとも狡猾で有害なレイシズムの形態かもしれない,とのことです。

文化的レイシズムは,個人的または制度的に,一方の集団の文化的遺産(芸術,工芸,伝統,言語,そして価値観)を他方の集団よりも優れていると表現したり,その基準を他の集団に押し付けたりすること

ある特定の文化を別の文化よりも優れたものだと見なしたり,言語を禁じられたり,宗教を禁じられたり,歴史のなかで貢献が無視されたり歪曲されたりと,さまざまな形で文化的レイシズムは現れてきます。

現代的レイシズム

さらに近年では,レイシズムは高度にごまかされるようになり,見えないようになり,微細な形に姿を変えたと指摘されています。

そして表面上はもう「差別なんか存在していない」と考える人が多くなり,でも特定の集団への不利益は社会の制度や構造のなかに埋め込まれてしまっていて,声をあげようとする人に対して「決まったことだから」「差別なんかもうないだろう」「差別はないんだから,不利益が生じているのは努力が足りないからだ」といった考え方で,隠れたレイシズムが続いていくことになるのです。

それが「現代的レイシズム」「象徴的レイシズム」「回避的レイシズム」そして「人種的マイクロアグレッション」といったレベルで進行中であることを示唆している。

「日本に差別なんかない」と素朴に考えるのではなく,少し周りを見回してみると良さそうです。

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