エフォートフル・コントロールの発達
エフォートフル・コントロールという言葉を聞いたことがあるでしょうか。もともと,ロスバートという研究者が提唱した気質特性(子どもの心理特性)のひとつです。
英単語のeffortfulという単語もそれほどお目にかかるものではないので,あまりカタカナで「エフォートフル」と書かれても,意味がよくわからないかもしれません。
エフォートフル
辞書を調べてみると英単語のeffortfulは「かなり身体的な努力が必要な様子」なんていうふうに書かれていて,この日本語を読むとますますよくわからなくなってしまうかもしれません。
ただ「effort」が「努力」「奮闘」「骨折り」といった意味ですので,それが「-ful」で満ちていると考えれば,何となく「努力をいっぱいする」というイメージで捉えることができるかもしれません。
エフォートフル・コントロール
そして,その「努力をいっぱいすること」を「コントロール」する心理的な特性ということですので,何となく「我慢できる・努力できる能力のようなもの」かなあ,と考えることもできそうです。
では,論文なんかにエフォートフル・コントロールがどのように書かれているかというと,
◎優勢な反応を抑制して優勢ではない反応を遂行する過程にかかわる心理特性
などと書かれています。
定義を見てもよくわからないかもしれません......。目の前にある目を引く誘惑に負けずにするべき課題に集中することができる傾向,と書くとどうでしょうか。何となくわかるでしょうか。
勤勉性特性
エフォートフル・コントロールはいくつかの心理特性に関連します。
たとえば自己制御や自己コントロールと呼ばれる特性です。これらは何かの基準に合うように,自分自身のあり方をうまく調整する傾向のことです。
また,実行機能と呼ばれる認知能力にも関連します。実行機能は,難しい課題に取り組むときにルールを維持したり,ルールの変化に対応したり,情報を更新したりして行動や思考を制御する機能のことです。
さらに,控えめさや衝動の少なさにも関連します。そして,これら全体は,ビッグ・ファイブ・パーソナリティの勤勉性(Conscientiousness)に関連が深い心理的な機能でもあります。
エフォートフル・コントロールの発達
思春期くらいの年代で,エフォートフル・コントロールがどのように変わっていくかを検討した研究があります(The Development of Effortful Control from Late Childhood to Young Adulthood)。
調査の対象になったのはメキシコ系アメリカ人の青年たちです。賀露フォルに芦生の研究プロジェクトで,674名が10歳,12歳,14歳,16歳,19歳の時にアンケートに回答しています。
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