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オリジナリティの追求と身体改造

身体改造マニアという人びとがいるのを知っているでしょうか。タトゥーやピアスは(特にタトゥーは日本以外では)一般的なファッションとなっていますが,それ以外にもさまざまな身体改造が試みられています。皮膚の下にものを埋め込んだり,舌を切ったり,頭蓋骨を変形させたり,身体の一部を切りとったりと,極端で危険な手術をファッションとして行うことが一部で流行しています。

ちなみにネットで検索すると,「身体改造」と「肉体改造」とで,ぜんぜん違う検索結果になるのが面白いですね。「身体改造」だと上で書いたような内容がヒットしてきて,「肉体改造」だとフィットネスや筋力トレーニングの内容が検索結果に出てきます。日本語って,難しいですね……。

自己表現

タトゥーやピアスもそうなのですが,身体改造の主な動機は,自己表現やアイデンティティーの感覚を得ること,独自性の欲求を満たすことではないかと言われています。これまでにもこういった研究は行われていて,ほかにも自分の身体を美しくすること,個性を発揮すること,自分自身のイメージを作り出しまた強くすること,さらには集団に所属するための帰属意識を強くすること,などが検討されています。

この中でも,自分自身のオリジナルな身体改造をすることは,独自性欲求に関連するのではないかと考えられています。

独自性欲求

独自性欲求というのは,比較的安定した個人の心理特性だと考えられています。自分自身が他者と似過ぎている,あるいは逆に異質すぎると認識する際に生じます。

独自性欲求というのは,単に「他者とは違うことをアピールする」のではなく,「適度な違い」を心地よく感じる傾向なのです。全く同じでもイヤだし,全く違っていて社会と不適合を認識するのもイヤなのです。

大学に通う学生たちも,どんな服装でいてもいいはずなのですが,周囲から見て「恥ずかしくないように」でも「ほかの人と全く同じ服を着てしまって被らないように」というあたりを気にするはずです。この「ほかの人とはぜんぜん違う格好ではないけれども,適度な違いがある」という状態を目指そうとする欲求が独自性欲求と呼ばれるものです。

そして,この「適度さ」に個人差があります。ほとんど同じで少しだけ違うことに心地よさを抱く人から,ぜんぜん違うことに心地よさを抱く人まで,さまざまな人が存在するというわけです。

身体改造と独自性欲求

というわけで,ピアスやタトゥー,そして極端な身体改造は,どれくらい独自性欲求に関連するものなのでしょうか。今回紹介する研究はドイツで行われたものなのですが,独自性欲求にはいくつかの下位側面が設定されています。

◎自分の異なる考えや行動などに対する他者の反応に対する懸念の欠如
◎つねにルールに従いたくないという欲求
◎自分の信念を公的に守ろうとする意欲

これらが身体改造にどのように関連するかを検討した研究がありますので,結果を確認してみましょう。こちらの論文です(When personality gets under the skin: Need for uniqueness and body modifications)。

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