見出し画像

仕事で手抜きをしやすい性格

ソーシャル・ローフィング(social loafing)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「loaf」は「怠ける」とか「ダラダラする」といった意味をもつ単語です。ソーシャル・ローフィングは「社会的手抜き」とも呼ばれるものですが,個人が評価されるときは努力をする一方で,集団が評価されるときには手を抜こうとすることを表す言葉です。

ソーシャル・ローフィングを行う人であるソーシャル・ローファーは,チームワークに悪影響を及ぼす可能性があります。集団での作業の際に,一人で作業をしているよりも目標達成の努力が少ないわけですから,経験から学ぶことを妨げ,職場の中では大きな損失をもたらします。


ロープを引く

社会的手抜きは,ロープを引く力を測定する研究で行われたことがよく知られていて,社会心理学の教科書にも載っているのではないでしょうか。トラックにロープを結び付けて,一人で引っぱります。それに比べると,2人,3人,4人と引っぱる人が増えていくと,ひとりあたりの引っぱる力がどんどん低下していくという研究です。この研究が始まったときはまだ社会的手抜きとは呼ばれていなかったのですが,その後,「Social Loafing」という言葉が定着していったそうです。

この現象はなかなか強固で,たとえ仕事のチームの関係性が良くても,集団が目標を定めると,個々の努力は低下してひとりあたりの労力は少なくなっていく現象が観察されるそうです。


性格と手抜き

とはいえ,社会的手抜きにも個人差があります。その個人差は,ビッグ・ファイブ・パーソナリティに関連したりするものなのでしょうか。そこで,実際に検討した研究がありますので,こちらの論文を見てみましょう(How Students’ Big Five personality traits manifest in perceived social loafing behavior)。

この研究では,大学でのグループ課題における,ソーシャル・ローフィングとビッグ・ファイブ・パーソナリティとの関連を検討するものです。

ここから先は

1,414字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?