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自閉スペクトラムをごまかそうとする傾向

割引あり

自閉スペクトラム症(ASD)は,大きな2つの特徴をもつ発達障害です。

・社会的コミュニケーションおよび交流における持続的障害
・限定された様式の行動,興味,および/または活動の繰り返し


具体的特徴

より具体的な特徴は,次のようになります。

社会的コミュニケーションおよび交流における障害の例
◎社会的および/または情緒的相互関係の障害(例,社会的交流または会話を開始できない,またはそれに反応できない,共感できない)
◎非言語性社会的コミュニケーションの障害(例,他者のボディランゲージ,ジェスチャー,および表現を理解するのが困難で,表情ならびにジェスチャーおよび/またはアイコンタクトが乏しい)
◎対人関係の発達および維持(例,友人をつくる,様々な状況に適応した行動をとる)の障害
限定的な行動,関心,および/または活動パターンの繰り返しの例
◎常同的または反復的な動作または話し方(例,繰り返し手をたたくまたは指をはじく,奇異な語句を繰り返すまたは聞いた言葉をすぐに反復する[反響言語],おもちゃを並べる)
◎日常動作および/または儀式的行動への融通の効かない執着(例,食事または衣服の小さな変化に過度のストレスを感じる,常同的な挨拶の儀式)
◎極めて限定的で,異常に強力な,固定された関心事がある(例,掃除機に固執する,児童では飛行機の運航スケジュールを書き出す)
◎感覚入力に対する過度の敏感性または鈍感性(例,特定の匂い,味,または触感への過度の嫌悪;痛みまたは温度に関心がない様子)

カモフラージュ

近年の研究で,自閉スペクトラム症の持ち主が社会的相互作用に興味がなかったり,社会的な動機づけに欠けるのではないかという意見に反するような結果が報告されるようになっています。

ときに自閉症の持ち主は,より神経質な特徴を強調して,自分の自閉症的な特徴を隠そうとする現象が報告されているのです。これを「カモフラージュ」と呼ぶ研究者がいます。

自閉スペクトラム症の診断の有無にかかわらず,人々は社会的行動をとる際に,意識的または無意識的に,自閉症的行動を抑制しようとします。自閉症的特徴というのは,社会的相互作用の妨げになるような特徴であり,周囲の人々からネガティブな評価を受ける可能性が高いのです。

自閉スペクトラムの持ち主が,自分の自閉症的な特徴を抑制しようとすることは,社会的相互作用への欲求や,周囲から好かれることへの関心の反映でもあるのです。

カモフラージュの背後

自閉スペクトラム傾向のカモフラージュの背後には,どのような特徴があるのでしょうか。この点を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Individual differences in autonomy and sociotropy in relation to autistic traits, camouflaging and interpersonal functioning)。

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