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つい忘れたり名前を間違えたりする失敗と性格との関連

もともと物覚えがよい方ではないので,できるだけメモをとって参照できるようにしようとするのですが,どうしても忘れてしまうことがあります。

特に毎日大量のメールが届きますので,ちょっと返事を怠ってぼーっとしているとどんどんメールソフトのリストの下の方に行ってしまい,そのまま書類の山に埋もれるように忘れていってしまいます。返事をしなければいけないメールは別のフォルダなどに入れて整理しておけばよいのですけどね。だって,いちいちやるのも面倒なのですよね……。

失敗を測定する

普段の生活の中での失敗を測定する心理尺度があります。海外では認知的失敗尺度(Cognitive Failure Questionnaire)の頭文字をとってCFQと呼ばれています。

日本語の尺度も開発されています。たとえばこの論文(失敗傾向質問紙の作成及び信頼性・妥当性の検討)です。次のような経験を普段の生活でどれくらいするでしょうか(質問項目そのままではありません)。

◎人の名前が思い出せない
◎物をなくしてしまう
◎よく考えずに物事を決めてあとで後悔する
◎決心するまであれこれと悩んでなかなか決められない
◎自分の予定を決めないで約束してあとで後悔する
◎残金のことを考えないで買い物をする

この尺度は,CFQにさらに日常的な広い失敗を加えて全体的な失敗傾向を測定することを試みています。どうでしょうか。いや〜,質問項目を見ていると,自分でもやってしまうようなことが結構あります。

認知的失敗の構造

項目を追加せずにCFQ自体が用いられている研究もあります。この論文(日常記憶に関する自己評価の分析)です。

この論文ではCFQの因子分析も行われています。認知的失敗は,次の5つの因子で構成されるそうです。

(1)空間的失敗:場所,位置,方向に関する失敗
(2)うっかり,ぼんやりの失敗:注意散漫,気がそれてしまう失敗
(3)検索失敗:思い出すことの失敗
(4)人名記憶の失敗:人の名前を覚えることや思い出すことの失敗
(5)約束の失敗:人との約束や決められたことを忘れるなどの失敗

このように,一口に「失敗」といっても,その中身はいくつかに分かれることが示されています。皆さんはどの失敗をしがちでしょうか。私は……どれも気をつけていないとしてしまいそうです。

性格と失敗

では,こうした失敗は性格と関連するのでしょうか。大規模な調査からこの間連を検討した海外の研究があります。この論文です(Five Factor Model personality traits and subjective cognitive failures)。

調査に参加したのは5000人以上の成人で,男女は半々,年齢は18歳から91歳の範囲です。おおよそ,18歳から29歳,30歳から39歳,40歳から49歳,50歳から59歳,そして60歳以上が同じ比率になるように調査が行われているそうです。

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