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スロバキアの第1波と第2波のパンデミックで性格はどの行動に影響したか

コロナウィルス感染症は,どこの国でもだいたいいくつかの波のような形でやってくるもののようです。

でも,この「波」がくせ者だと思うのですよね。「波」だと思っていたら,あとからもっと大きな波がやって来たり,後から見たらそこが「波だった」ということもあるのです。株価とか投資信託とか,仮想通貨(いまは暗号資産と言うのでしたっけ)の価格の「波」も同じです。「波」だと思っていたら,実はもっと大きな波の中のほんの一部だったりするからたちが悪いのです。


日本の感染者数

Googleで「日本 感染者数 推移」なんて入力すると,検索結果にグラフを表示してくれます。こうやって見ると「波」が見えますが,「あのときは大騒ぎしたけれど,後から見たらほんの小さな波だった」というのは,すでに経験していますよね。

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スロバキア

さて,今回取り上げる論文は,スロバキア共和国で行われた研究です。スロバキアは一度は訪れてみたい国の一つなのですよね。

お隣のチェコ共和国には,学会で訪れたことがあります。ずいぶん前のことになってしまいましたが,スロバキアに近いブルノで開かれた学会でした。プラハから小さなプロペラ機の国内線で夜にブルノに着いて,「うーん,どうしよう」と困ってしまったことを思い出します。たまたまそのとき,同じ学会に参加していた研究者に出会って一緒にタクシーに乗せてもらったのでした(アメリカから来ていた研究者で,そこから親しくなりました)。

スロバキアの感染者数

さて,スロバキアの感染者数はどうなっているのでしょうね。同じくGoogleに尋ねてみると……いくつかの波がありそうで,人口を考えるとやはり感染者は多かったのですね。そして,ワクチン摂取の影響でしょうか,感染者数は一気に減少しています。

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というわけで,スロバキア共和国の研究を見てみましょう。この研究の目的は,コロナウィルス感染症のパンデミック前に測定されたビッグ・ファイブ・パーソナリティが,パンデミックに対する行動や感情の反応をどのように予測するかを検討すること,とされています。

スロバキアでは,2020年4月に感染拡大の第1波,2020年9月に第2波がきたとされているそうです。上のグラフでは第1波がよく見えませんが,左の方でほんの少し波が揺らいでいる様子が見えるでしょうか。その部分かなと思います。というわけで,この論文を見てみましょう(Big Five predictors of pandemic-related behavior and emotions in the first and second COVID-19 pandemic wave in Slovakia)。

最終的に分析対象となっているのは,男女248名で,19歳から75歳までの年齢範囲が含まれています。このサンプルは縦断的な研究プロジェクトとして調査されたもので,合計で4回の調査が行われています。

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