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子どもと読書

「子どもに読書をして欲しい」と望む親は少なくないように思います。

読書には年齢も大きな要素がありますよね。我が家も,子どもが小さな頃から年齢にあった本をセレクトして買ったり図書館で借りたりしていきました。

ただ,一番上の子はそれで大丈夫なのですが,下の子が読む本のコントロールはなかなか難しいものがあります(なにせ,上の子の本がすでに本棚に収まっていますので)。


心の理論

物心ついた頃の読書を考える上で,心の理論の発達がポイントになるかな,と思ったことがありました。

心の理論とは,他の人の心の状態を推測する能力のことです。「この人はいま,こういうことを考えているのではないか」ということを考えることができるようになることが,心の理論の獲得です。

諸説ありますが,これがだいたい4歳くらいとされています。図書館で自分の子どもの借りる本を選ぶときには,よくこのことを考えていました。

心の理論と物語

なぜ心の理論の獲得を考えることが大切かというと,心の理論が身につかないと理解できないだろうなと思うお話が,子どものまわりにはたくさんあるからです。

たとえば赤ずきんちゃんです。

オオカミがおばあさんのふりをしてベッドの中に待っているところに,赤ずきんちゃんが入っていきます。ここで,赤ずきんちゃんはそこでベッドに入っているのがおばあさんではなくオオカミであることを知らないのだ,という赤ずきんちゃんの心の動きを読み手(お話の聞き手)が理解できないと,この物語は何も面白くありません。そこが理解できないと,「どうしてこの子はのこのこと,オオカミが待つ小屋の中に入っていってしまうの?」と,不思議に思ってしまいそうです。

白雪姫のお話でも同じです。

りんごを売りに来たおばあさんが継母である王妃であり,自分の命を狙っているのだということを白雪姫は知らないんだ,という白雪姫の心の動きが理解できないと,この物語が理解できません。

その他の登場人物の心の動きまで想像するとなると,なかなかけっこう複雑なことを要求されているのではないかということに気づくのではないでしょうか。

こういったことが理解できるのが,だいたい4歳くらいからだろうというわけです(もちろん個人差はあります)。そして,おおよそ小学生に入る頃にはみなができるようになっているだろうと言われているのです。大人がイメージすると,意外と時間がかかるな,と思うのではないでしょうか。

小説の社会的地位

今でこそ,若者たちが小説を読むことが問題だと考えたり,小説家を下賤な職業だと考える大人は少ないと思うのですが,昔はそうでもありませんでした。

明治初期には小説有害論・排斥論があったそうで,「小説ヲ蔵スル四害」という文書には,小説好きは第1に品行を欠く,第2に不健康で早死にする,第3に親の小説を盗み見ることは早く身を破る,第4に悪い病気持ちが多い,などと書かれているそうです。

ちなみにこの「小説ヲ蔵スル四害」ですが,「東京新報 第1號」という冊子に収録されています。これは,国立国会図書館のアーカイブで見ることができます。冊子の冒頭に出てきますので,該当箇所はすぐに見つかると思います。

子どもを本好きにさせるには

どうにかして,子どもを本好きにさせたいと考える親も多いのではないかと思います。とはいえ,「読め!読め!」と叱咤激励しても,子どもは親の思うように本を読むようになるわけではありません。

そもそも親の思い通りに行動してくれるなら,こんなに子育てに苦労はしませんね。

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