見出し画像

ネットいじめと自殺の関連

スペインの調査によると,青少年のうちネットいじめに何らかの形で関与する青少年は16.8%,被害を受けたと報告する青少年も8.8%という結果が報告されているそうです。現在では多くの青少年がネット上の活動を行っており,その中ではいじめのような状況も珍しくないのかも知れません。

オンライン上のいじめは,「ネットいじめ(cyber bullying)」と呼ばれます。ネットいじめの被害を受けることは,さまざまな心理的問題や自殺へとつながることも明らかにされています。ネット上で表面化しないケースも多いことから,ネットいじめは大きな問題へとつながる場合があります。


何が関連を強めるのか

ある変数と別の変数との間に関連がある,といっても,常に関連があるとは限りません。ネットいじめと自殺傾向との関連も,どのようなときに強くなり,どのような場合に弱くなるのかを検討することは重要です。条件を明らかにすれば,対策の取り方も明確になるからです。

その条件は多様な内容が考えられるのですが,今回紹介する研究で注目しているのは,中核的自己評価(core self-evaluation)と呼ばれる概念です。

◎自尊感情
◎内的な統制の所在
◎一般化自己効力感
◎情緒安定性

中核的自己評価は,以上の4つの要素の集合体とされる概念です。ネットいじめの被害が中核的自己評価の低さに関連し,中核的自己評価の高さはネットいじめ被害と自殺念慮との関連を弱める可能性があります。このような仮説について検討した研究がありますので,こちらの論文を見てみましょう(Unraveling the links among cybervictimization, core self-evaluations, and suicidal ideation: A multi-study investigation)。

ここから先は

1,064字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?