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年齢を重ねるとリスクをとるようになるのか守りに入るのか

次のような問題を想像してもらえますか?

目の前に,空気入れにつながっている,大きく膨らんだ風船があります。あと何回空気入れを押したら破裂するかは,誰にも分かりません。1回空気入れを押すと,500円がもらえます。10回押すことができれば5000円です。そして,いつ空気入れを押すことをやめても構いません。ただし,もしも風船が破裂してしまえばそれまでのお金もすべて失われてしまいます。

このようなゲームがあるときに,あなたなら何回くらい空気入れを押して風船を膨らませるでしょうか。

周りの人を想像してみるとどうでしょうか。周囲の人よりも,多く空気入れを押す方だと思いますか?それとも,少ない回数でやめようとする方でしょうか。

カードゲーム

ブラックジャックというカードゲームがあります。手元にあるカードの数字の合計が21を超えないようにするというシンプルなゲームです。

いま,あなたの手元にあるカードが「5」と「9」なら合計は「14」です。このとき,21までの残りは「7」です。7が出ればぴったり,8以上が出ると負けてしまいます。2とか3だとまだまだ21には遠いので,負けてしまう可能性も高くなります。さてこんな場合,ここでもう1枚のカードをもらうかどうかが,判断のしどころになります。

皆さんならどうでしょうか。どんどん「次のカードをもらっていこう」と考えるか,それとも「やめておこうかな」と考えるかです。違法ではあるのですが,もしも大金がかかったゲームだったらどうでしょうか?

リスクテイキング

もしもこの選択をしたら大きなお金がもらえるかもしれないけれど,失敗したら大変なことになるかもしれない,という選択であるほど,リスクのある選択となります。得るものも失うものも大きくなるような選択です。

皆さんは,普段の生活の中で,リスクが少ない方を選びがちでしょうか,それともリスクが大きい選択肢を選びそうでしょうか。

リスク選択と年齢

また,私たちは年齢を重ねると,賢い判断をしていくものなのでしょうか。それとも,どうしても避けられない,年齢に伴う知的な能力の衰えとともに,危ない賭けにもどんどん乗っていってしまうものなのでしょうか。

「経験が意味を持つだろう」と思うかもしれませんが,その人にとって守りに入って成功した体験を持つか,リスクをとった決断をして成功した体験を持つのかは,けっこう偶然の産物ではないでしょうか。たまたまリスクをとって大成功した人もいるでしょうし,危ない橋を渡らず成功した人もいそうです。

となると……年齢を重ねることはリスクのある選択を取ることにはたして関連するのでしょうか。

年齢とリスク選択

そこで,年齢とリスク選択との関連をメタ分析で検討した研究を見てみましょう。この論文です(Age differences in risky choice: a meta-analysis)。

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